6/29/2020

中国に"廃棄物"を送るのやめるってよ(罰則つき)

令和2年6月29日(月)時点での気になるニュースについて、声高に吠えさせていただきます。

  • コモディティは、バーターだろ
  • ノリリスクって、そういうところだろ
  • 中国に"廃棄物"を送るのやめるってよ

ここんところの世界の動きって、一切の流動性を感じさせないですが、実のところ大きな地殻変動が起きていますよね。じんわり、じんわり。そんな表現が適切だと思います。トランプ先生界隈も、色々とかき乱す人が出てきていますが、「結局は選挙利権」なわけです。大きな声を出して、わめけばわめくほど、お金が入るシステムです。オリンピックと同じですよ。四年に一度、国民の"やる気"に火をつけて、日常の鬱憤晴らし、現実逃避に利用する。その裏では、為政者がゴニョゴニョやって、莫大なカネが動く。結局のところ、「国民のために云々」は、大義名分でしかなく、すべてが陣取り(利権死守)ゲームの一環です。

コモディティは、バーターだろ

参照:『ハイオクガソリン、実は混合 「独自開発」のはずが…20年前から各地で

失笑というか、「何を今更」な感じが否めないです。この記事を書かれた方は、なにをターゲットに、なにを得ようとしているのかが不明瞭です。そもそも、我々庶民は、ハイオクが必要になるような車には乗れませんし、燃料の違いで車の特性がわかるようなセンスも持ち合わせていません。そんなこと言うのであれば、「国産果汁100%使用」なのに、「果汁分が全体の30%しかない健康ジュース」の処遇はどうなる。

大阪の会社が関東に商圏を持っていて、千葉の会社が関西に商圏を持っている。この両社が、"同一の規格品"を扱っていたとするならば、お互いの仕向先を、より近い方に振り替えた方が、物流コストは圧縮できるわけです。買う側からしても、「同じ規格ならば」、地理的に近いところから買った方が、不要なコストをカットできるし、安全なわけです。これを企業努力ないし、営業力と言わずして、他になんと例えることができようか。

現に、我々の非鉄金属スクラップ業においても、川上の重鎮企業様方は、当然のように"バーター取引"をやっています。しかしながら、「あ、それ、僕もやりたい」と言っても、そうは問屋は卸してくれないわけです。それは、老舗独自のネットワーク、つまり既得権益であり、絶対的に不可侵の"商流"であるからです。売上高が何百億あるとか、ヤードを各地に持っているとか、そういうことではないそうです。

ノリリスクって、そういうところだろ

参照:『ロシア北部ノリリスク 工場からツンドラ地帯に廃棄物流出

かつて、当ブログ『パラジウムと極東物流政策に関連はあるのか』にて言及したことではありますが、ノリリスク・ニッケル社がご活躍される地域っていうのは、元々そういうところなんですよ。米国での"それ"も同様のことが言えると思いますが、なにかにつけて"ボヤ騒ぎ"を起こして、声高に意味ありげな戯言を述べては、お金をもらう人々がいます。貴金属市場への影響は、いかほどでしょうか。(最近、ロシアからのアクセスが非常に多いので、以下自粛。)

中国に"廃棄物"を送るのやめるってよ

参照:"Hapag-Lloyd to halt waste shipments to China"(ハパグロイド、中国への廃棄物輸送を停止へ)

結構、このニュースは、今後の業界勢力図を占う上で重要であると考えています。(例のごとく、DeepL翻訳を利用しています。)

「ドイツのコンテナ船会社ハパグ・ロイド(HLAG.DE)は、新法を遵守するため、9月1日以降に到着する中国向けの金属スクラップを含む固形廃棄物の貨物の受け入れを停止すると顧客に通知したと発表した。」

German container shipping line Hapag-Lloyd (HLAG.DE) said it had notified customers it will stop accepting cargoes of solid waste, including scrap metal, bound for China that arrive from Sept. 1 onwards to comply with new legislation.

「中国は4月に、輸入要件を満たしていない固形廃棄物の返還と処分について、運送業者と輸入業者に責任を負わせる法律を9月から施行することを可決した。」

China in April passed a law, taking effect in September, that holds carriers and importers responsible for the return and disposal of solid waste that fails to meet import requirements.

当該記事の中で、「MSC Mediterranean Shipping Companyもやめる」ということ、「(船社による)なんらかの罰金もあり」ということも言及しています。要するに、「あたいらの船に"ゴミみたいなもの"積むんじゃないわよ」ということである。彼らは、どれが"固形廃棄物"であるか、どれが"金属原料"であるかなど知る由もなく、これまで「通関できたものだから」という理由のみで、船に積んでいたわけです。しかも、その"ゴミみたいなもの"は、積載効率の悪い航路の"空き"を埋めてくれる、貴重な調整弁でありました。だからこそ、船社は"したり顔"で「まあ、積んでやるよ」的なスタンス(筆者の勝手な妄想)を誇示します。どんなにマージナブル(収益性の高い)な商売であっても、かなり強気でした。

今後、すべての欧州系の船会社が、同様の対応をとるのか、はたまた一部の業者が率先して行った自主規制としてのみ機能するのか。いずれにせよ、中国政府は、"見せしめ"も含め、相当数のシップバック事案を発掘するでしょうから、中長期的にみても、「キワドイ金属スクラップを中国に送る」ことの経済的な合理性は、だいぶ薄れます。じゃあ、今までのように、「袖の下を通せばどうにかなる」のかというと、それも懐疑的です。

以下、持論でありますので、理解のされ方は自由ですが、「習近平政権の最大の目的は、上海閥の粛正並びに、米国ディープ・ステイトへの攻撃」であると信じています。もちろん、これまでもこれからも、中華経済圏における"癒着"の構造は不変であると考えていますが、貿易においては、利益構造の抜本的な変化が起こっているような気がしてなりません。

これまでは、「どこぞの行政地区の役人を日本で接待」だったり、「どこぞの税関職員とタイ出張」なんていう"露骨な癒着"が必要だったとします。これからは、どうでしょう。例えば、「どこぞの役人の親族がつくった独自の認証機関に加入」だったり、「どこぞの党員の親族がつくった人材派遣会社から、毎年一定数の雇用を約束」だったりするのでしょうか。よくわかりませんが、人間のやることなんて、所詮知れていますし、堂々巡り。いたちごっこです。

かつて、『パラジウムと極東物流政策に関連はあるのか』にて、既に言及したことではありますが、「船がダメなら、列車がある」ということです。我々、日本という島国には真似のできない芸当ではありますが、中国と欧州は、ロシアを経由して陸地でつながっています。そして、中国は、欧州のリサイクラー大手を既に手中に収めています。何を言いたいのかというと、中国は、欧州での金属スクラップの発生と物流を押さえているということです。今般の規制で困るのは、中国ではなく、メインストリームに入り込めない中小零細のリサイクラー並びに商社一般なのです。

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6/26/2020

うちの会社は、お前んとこの倉庫じゃないぞ

ネタが無いです。Twitterで買取金額を流し始めてみたけど、続きません。そんなことを、よく耳にします。非鉄金属スクラップの問屋さんの社長さんのハナシです。じゃあ、やめてしまえばいいのに。そう思う、今日この頃。

個人的に、大阪のトーナイさんのブログは、毎朝必ずチェックさせていただいています。もちろん、先方の買取単価も気になりますが、それ以上に、あの古代史から始まる"濃密な"ハナシのファンです。あまり回りくどく言っても、長ったらしくなるので、端的にトーナイさんのブログの魅力を申し上げると、「オンライン・メディアを通して、社長の顔、会社の色がみえる」ことにあります。

また、連日欠かさずに情報を発信されているところに、"強い信念"を感じるし、"安心感"を得ます。「ああ、この会社なら、長いスパンでお付き合いできるな」だとか、「これだけの見識があるのであれば、すべて任せておけばいいな」だとか。要は、「頼りがいがある」ということです。

個人的な見解ですが、Twitterでもブログでもなんでもいいんですが、どんな小綺麗な体裁で取り繕っても、内容がなければ、訴求力は無いし、継続して発信していかなければ、"与信の蓄積"は得られないわけです。

当ブログに関しては、さすがに毎日の更新はできていませんが、極力、節目節目で、フレッシュな情報、なおかつ個人の"色"が出るように、なるべく「夏休みの感想文」にならないように、細心の注意を払いながら、ちまちまと発信させていただいております。

ここから、一気にニッチな業界ネタについて。

昨今、銅系の板条(ばんじょう)メーカーの原料需要が、激減しているというハナシをよく耳にします。当然ですよね。先行き不安の真っ只中にあって、積極的な材料発注、前広に仕掛かりを抱える勇気のある製品メーカーは、皆無に等しいと思います。しかしながら、車輌系、特に弱電系ともに、需要は底堅いようです。巣ごもり需要、給付金で刺激された"手堅い消費"の恩恵を受け、カネを使える人は、今のうちに使いたいと感じている。あと、今月末に終了する、電子決済に対する補助政策の駆け込み需要という要素もあります。

なにがスマートなんだか

もう少し先の需要に関して言及すると、5G絡みで積極的に推進されている、"スマート家電"ですよね。なにがスマートなのか、さっぱり理解できませんが、要は「人間の行動を監視するために、電気が通っている機器すべてをネットワークで繋いでしまいましょう」という思想です。すると、どんなに小型化されようとも、いずれにせよ通信基板が搭載されますね。

基板の実装需要が高まると言うことは、東京エレクトロンのような実装機械設備の需要が高まるということでしょう。また、我々の原料業界が注目すべきは、銅箔需要の伸びですよね。つまり、国内外の日系銅箔メーカーが、いわゆる特号銅線(ピカ線)なり1号銅ナゲットを、どの程度の量を、どの程度の値段で買ってくれるのか、ということです。

蛇足になりますが、海外では、前者をISRI規格上の"Barley"などと呼ぶこともあります。実際には、日本の銅箔メーカーが求める品質水準は、さらにその上にあります。一部の事情通の中では、"Shiney Mill Berry"などと呼ばれたりします。いずれにせよ、国内銅箔メーカーに"特号"を供給するには、特定の直納問屋さんを通して、特定の品質要求事項に沿った荷姿にしないといけません。(周知の事実でありますが、海外の読者様のために、明記しています。)

遠いようで、意外と身近なハナシ

市中一般の業者さんには、直接的に関係のないことかもしれませんが、おそらく間接的に非常な重要なファクターだったりします。いわゆる相場の採り方は、その地域や環境によって、様々だと思いますが、仮に「特号の値段をもとに、それ以下の品目の値段を決めますよ」といったやり方で値決めをしている業者さん方において、銅系スクラップ取扱品目全体への波及が考えられるからです。

結論、ここまでの足元、中長期的な展望がみえていながらも、「銅箔向けの原料需要が強い」というハナシは聞こえてきません。考えられる要素としては、「特定の問屋からの購買量を増やす」ないし、「需要はあるんだけど、手元に置いておきたくないから、適正在庫の水準を下げている」こともあるでしょうし、はたまた「本当に、必要ない」という可能性も否定できません。こればっかりは、メーカーの原料購買担当も、正直なところ把握できていないかもしれません。ただ、「上司に言われた通りにするだけ」の場合が多々ありますもんね。そして、唐突に「今月は、少し多めに買ってやる」から、「ごめんなさい。今月足りないんで、集めてください」という事態に陥る。

モノづくりは、大変なんよ

なんで、こんなことが起きるかといえば、ライフサイクルの長い、パーツの多い製品(車輌等)が抱える問題として、「同一のプロジェクトに携わる人間の数が多くなる」という事実があります。要は、みんながみんな、おっかなびっくりで、"バッファー強めの控えめな需給予測"を組むので、実際の"緊迫度"とか、"必要性"がぼやけるんですよね。

そして、現在の大きな問題。みんながみんな、二の足を踏んでいる根本の理由は、ファーウェイを筆頭にした、中国共産党関連の通信機器メーカーならびに通信会社に対する、米国主導の制裁です。この潮目の変化の中で、ソフトバンク社長が投資先の中国企業の役員を辞めたり、NTTがNECに対する投資表明をしているのだと理解しています。要は、特定の需要家向けの製品に関して、供給できなくなる可能性があるということです。

特に、中華圏で工場を持って、実際のモノづくりを現地で行っている銅箔メーカーは、文字通り戦々恐々としていることと思います。今まで通り、製品供給を続けていたら、敵国に加担する企業の烙印を押されかねない。おそらく、「銅箔なんて、トイレットペーパーみたいなもんだろ。作り置きして、ダメだったら、他のトコロに買ってもらえばいいじゃないか」といった考えを持つ方もおられるかと思いますが、実際には製品仕様や、特に表面処理だと思いますが、色んな理由で完成品を他社向けに転用するのは、現実的でないようです。

毎度のごとく、論点がブレにブレますが、結論としては、「うちの会社(問屋)は、お前んとこ(メーカー)の倉庫じゃないぞ」ということです。相場のボラティリティ高く、需給の変動も激しい状況が、しばらく続くものと考えています。

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6/23/2020

きっと、その先に、なにか明るいものがあるだと信じながら

この停滞感、本当にマズいなあと切実に思う、そんな今日この頃。いっそのこと、「底を打つ」とか、そんな柔な発想ではなく、「底を壊す」ぐらいの荒療治が必要だったのではないか、そのように思うわけです。相場のハナシです。

某北欧の国、"集団免疫"を獲得するために、「オイラ達は、なんもしなくても、大丈夫さ」などと強がっていた方々がおられましたが、結論としては、「やべえ。きちんと対策しておけばよかった」という事態に陥っているわけです。実際に、彼らがやっていたことは、対策でもなんでもなくて、単なる"驕り"であったわけです。確かに、彼の地では、CCR5受容体に遺伝子異常が見受けられ、HIVウィルスに対して耐性を持つ方々がおられます。数々の流行病(はやりやまい)を克服してきた歴史がありますので、「オイラ達は…」という短絡的で刹那的な思想の元、「なにもやらなかった」わけです。

毎度の下世話で恐縮ですが、オンライン・ゲームというものにハマっています。現実逃避です。もはや、"ビデオ・ゲーム"という概念は存在しません。おそらく、若者世代にとって、「もう一人の自分が、もう一つの世界で、普段できないようなことを、思いのまま実現するための空間(=サード・プレイス)」が、現在のゲーム空間なのでしょう。かつての我々世代のそれは、箱庭の中で、「ペシペシ殴り合って昇竜拳」でしたが、若者は「サブマシンガンでビクロイ(Victory Royale)」です。

サイバル・ゲームの神髄

筆者が入れ込んでいるのは、『フォート・ナイト』というゲームです。その醍醐味のひとつに、「面識もない人とチームを組んで、オンライン上でサバイバル・ゲームができる」ということが挙げられます。端的に申し上げると、ひとつの目標(最後まで生き残る)に向かって協力し合うだけのゲームです。若干難しい言い方をすると、「ラフ・コンセンサス(暗黙の合意形成)の芯を捉え、オノレの役割を愚直に全うすること」が求められるゲームです。

商売にも通じる部分かと思われますが、チーム内にリーダー・シップがなければ、他のチームに喰われます。そして、必ず、独力で、腕力だけで「なんとかできる」と過信してしまうチーム・メイトが出現します。ご察しの通り、当然のことながら他のチームに喰われます。また、同じようなレベルの人間が、金魚の糞のようにくっついているだけのチームも、喰われます。仮に、技術レベルの高い連中だけでゲームに臨んでも、ある水準にまで達すると、淘汰されます。

なぜ、そのような事態に陥るかというと、実際の戦場とは違い、コマンダーとソルジャーが同一(商売においては、プレイング・マネージャー的な役割)であり、具体的な戦略・戦術が明文化されていないために、アクションのひとつひとつが個々の判断に委ねられているということです。言うなれば、「間違った行動をすれば、なんらかの制裁を受ける」こともないし、「ゲームが終われば終わりの刹那的な関係」なのです。だから、同質のチームは「同じ視座で、同じ方向を見て、無責任にガチャガチャやって、やられる」のです。

どうやったら、勝てるようになるか

一方で、強いチームの特徴を三つ挙げたいと思います。まず、「利他的である」ということが、大前提です。困っている仲間がいれば、援護する。怪我をしたら、手当をしてあげる。次に、メンバーそれぞれが、「要所要所でリーダー・シップを発揮する意思がある」こと。これは、エゴイスティックに、押したり、引っ張ったりすることではなく、他者のちからを「引き出す」ようなイメージだと思います。

最後の特徴は、「それぞれが文脈を的確に読み、時には、それを適宜書き換えることができるか」ということにあると考えています。要は、臨機応変に動くことができるかということです。「他の人は、ここに行くだろう」とか、「こうやったら、あの人も動きやすいだろう」という類いの"思いやり"です。そして、洞察を深めていく中で、危険が迫っていると感じたときに、他者に対して「このままでは、危ないよ。こっちへ向かった方が、安全なんじゃないか」と、新たなストーリーを提起することで、そのチームの運命が分岐するわけです。失敗するかもしれないけれど、成功するかもしれない。結果は、わからないけれど、停滞したまま、負の連鎖に呑み込まれるよりは、逐一の小さな対策を積み重ねたチームは、間違いなく強い。

翻って、我々の業界

枕が、だいぶ長くなってしまいましたが、筆者の言いたいことは、こういうことだと思います。暗中模索の中、「同質社会に固執し、集荷量(売上)至上主義にひた走ること」は、業界全体のマイナスになりかねない、ということです。

市場としてはそれなりの規模ではありますが、一方で蓄積量の伸び率は頭打ち傾向にあることから、今後、国内の金属リサイクル市場は横ばいあるいは縮小に向かうと予想されております。

関西の超有名リサイクラーである、巌本金属の巌本博社長は、このように述べられています。

参照:三井住友フィナンシャルグループ『Ecological Company Special ~環境経営の現場から~

1960年の累計鉄鋼蓄積量は約1.1億トンでした。その後、高度経済成長によって10年後の1970年には約3.4億トンとなり、この間の鉄鋼蓄積量の平均年間伸び率は過去最高の11.6%に達しました。その後も累計鉄鋼蓄積量は増大し続けますが、平均年間伸び率は1970年代には6.8%まで落ち、1980年代は3.8%、1990年代は2.5%と低下の一途を辿り、直近の数値(2012年末)では累計鉄鋼蓄積量が約13億トン、年間伸び率は0.4%にとどまっています。一般的に、鉄鋼蓄積量の2%前後が毎年鉄スクラップとして発生するといわれておりますので、13億トンの2%となる2,600万トン前後が鉄スクラップの原料になるということです。

未だに、「どうしたらいいのか」という"答え"は見つかりませんが、"最適解"としては、「最後まで生き残る」ということを考え抜くしかないですよね。他人に依存せずとも、なんとなく幸せな毎日が過ごせたら、見事なビクロイ(Victory Royale)です。途中、茨の道もあるでしょうが、小さな積み重ねを大事にしてゆきたいと思います。きっと、その先に、なにか明るいものがあるだと信じながら。

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6/18/2020

銅の精錬事業者は、帳簿上は調子悪いようですが、実態はいかに

前回のポストで、まったくの与太話を繰り広げてしまいましたので、今回は真面目に取り組みます。しかしながら、今週のアクセス解析をみていると、興味深いですね。いつもながら、米国からのアクセスが多い。その次ぐらいに、「不明な地域」、そして、ロシアとくる。米中露、並びに北朝鮮在住の山師の皆々様のお陰で、この胡散臭い都市伝説ブログは継続できています。ありがとうございます。

ここ数日間の気になった、非鉄金属関連のニュース一覧です。

日刊工業新聞『非鉄大手7社の前期、4社が当期減益 需要減と銅下落響く

素人目線で恐縮ですが、住友金属鉱山の利益率は、他の精錬会社に比べ、高い印象を受けます。それぞれの会社が、収益のピボットが違うので、一概に高い安いでは判断できませんが。製販一体ワザで営業活動にシナジーが出ているのでしょうか。

Mining.com - "Gold price up as Fed commits to low rates"

相場のことは、よくわかりませんが、恐らく「金は官製相場だよ。てへぺろ」ということでしょうか。現況としては、株価もそうだと思いますが、実需云々ぬかしてないで、さっさとカネを回せというのが、お上の意向なのでしょう。個人的には、パラジウムの堅調上げを期待しております。

(以下、記事より抜粋。和訳は、DeepLを使用。)

Earlier in the session, spot gold rose 0.4% to a one-week high of $1,744.60 per ounce, before pulling back to $1,735.05 by noon EST. US Gold futures also rose 1.3% to $1,737.50 per ounce, heading for its biggest gain in more than a month.

セッションの初めには、スポット金は0.4%上昇し、1オンスあたり1週間の高値である1,744.60ドルまで上昇しましたが、東部標準時の正午までに1,735.05ドルまで下落しました。米国の金先物も1.3%上昇して1オンスあたり1,737.50ドルとなり、1ヶ月以上で最大の上昇に向かった。

“You almost couldn’t come up with a better script for a strong fundamental environment for gold than what we saw from the Fed yesterday,” Matt Weller, global head of market research at Gain Capital Group LLC, said in a telephone interview with Bloomberg.

“It’s really an environment of rampant monetary stimulus, and historically that’s exactly the type of environment in which gold has thrived,” Weller added.

ゲイン・キャピタル・グループLLCのグローバル・ヘッドであるマット・ウェラー氏は、ブルームバーグとの電話インタビューで、「昨日のFRBの発言以上に、金のファンダメンタルズ環境を強くするためには、これ以上の台本は思いつかなかったでしょう」と語った。「これは本当に金融刺激策が横行している環境であり、歴史的にはまさに金が繁栄してきた環境です」とウェラー氏は付け加えています。

Steelguru.com - "Metal News - Published on Tue, 26 May 2020"

今般のウィルス騒動で、いち早く危機を脱したと持て囃された中国。そして、防疫体制の素晴らしさを賞賛された韓国。果たしてその"栄華"も、いつまで続くのでしょうか。

中華人民共和国という枠組みではなく、"中国共産党"の覇権構造に関しては、今後も継続的に地球規模で機能してゆくはずだと考えています。米国も同様に、かつての"アメリカ株式会社"の影響力が減衰し、他の勢力が追撃し、そしてまた分裂を起こすものと考えられます。悪く言えば、これまでの"State"の概念が揺らぎ、国家"内"でのいざこざが増えるのかもしれません。良く言えば、この業界でも使いますが、「仕切り直す」という発想に至ります。思想信条の近しい"Nation"が強く結びつき、新たな"土地"を形成します。そして、米国由来の中国共産党シンパと、その他新興勢力が、地球規模でバッチバチに戦ってくれることでしょう。

(以下、記事より抜粋。和訳は、DeepLを使用。)

China’s published a GDP growth rate of -6.8% y/y in Q1 2020 and -9.8% QoQ. This is the first negative growth figure since the start of the economic reforms initiated by Deng Xiaoping in 1978.

Using estimates of the loss of output by sector, one month of the lockdown lowers the level of annual GDP by 2–3%.

中国は2020年第1四半期のGDP成長率を前年同期比6.8%減、前四半期比9.8%減と発表した。これは、1978年に鄧小平が主導した経済改革が始まって以来、初めてのマイナス成長となる。…セクター別の生産高の損失を試算してみると、1ヶ月間のロックダウンで年間GDPは2~3%低下する。

Copper sees steepest demand decline since the 70s - Copper demand is set to decline by over 5% this year, which represents the strongest downturn since the mid-1970s.

銅は70年代以降、最も急峻な需要の減少を見ている - 銅の需要は今年5%以上減少するように設定されており、これは1970年代半ば以来、最も強力な景気後退を表しています。

There is scope for some retracement of the copper price into the $4,000s/t during the second quarter but the period average is set at just over $5,000/t. Any price appreciation over the remainder of the year and 2021 will be capped by the cash costs net of by-product for the 90th percentile mine.

第2四半期の銅価格は4,000ドル台へのリトレースの可能性があるが、期間平均は5,000ドル強に設定されている。 残りの年と2021年の価格上昇は、90%の鉱山の副産物を差し引いた現金コストで上限が設定されます。

引用終わり

この第2四半期における銅価の想定が、$5,000強にあるという"予測"は、興味深いですよね。要は、現在の相場は高い。そして、いずれにせよ調整局面に陥る可能性が十二分にあるということですね。実体経済との比較検証なので、金と同様、"官製相場"が膨れ上がるほど、想定は難しくなります。ただ、ひとつ間違いないのは、今後の非鉄金属スクラップ業界にとって、先行きは非常に暗いということだと思います。水増しあれど相場高く、実需が薄く、生産活動の低い工場からのスクラップ発生が少ない。一部の業者は、国内での加工設備増強を図り、投入母材の獲得に躍起になっている。相場が良くとも、インプット無くしては、アウトプットも得られないわけです。

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6/17/2020

航空会社のクレジットカード、いつ解約しようかな

もの凄い下衆なハナシなんですが、いわゆる航空会社の"エリート・プログラム"って入っていますか?安心してください。広告ではありません。

近い将来、"ポストC19"の時代が否応にもやってきます。それも、本当にあっという間でしょうね。"ウィズ"の時代でさえ、なにがなんだか、うまく対応できているのか、はたまた政府に騙されているのか、既に感染したのか。そんなことでさえ、理解できないまま、かりそめの人生を歩んでいます。寝て起きたら、もう、周りの人間は、"ポスト"に生きていて、自分だけ置いてけぼりになっていた、なんてこともあるかもしれません。時代の潮流が変わったのだから、これまでの"常識"に生きていたら、「変わった」ことさえ気付けないのは当然です。

"プリC19"時代、我々は、「お金さえあれば」、望めば世界の果てまで、望む時に、行けました。今考えると、とても恵まれた環境にあったのですね。

昨晩、筆者が契約している航空会社系のクレジットカードの解約を検討しました。なぜかというと、普段使わないし、今後も「海外へ行かないのであれば」必要がないと思ったからです。ですが、なぜか解約することができません。年会費も馬鹿にならないので、「使わないのであれば」、純粋な無駄です。

あのときは良かった

仮に、"ポスト時代"において、あなたが海外での仕事を得たとします。渡航に関しては、個々の対策(ワクチンやら防護服など)があれば、ある程度の自由は担保されるものとします。そして、ここが肝なんですが、「今般のウィルスの感染経路が、いわゆる"Chaoticな密"にあると"断定"された場合」です。(大方、そうなんでしょうが、一緒にいれば必ず感染するのか、それ意外の経路はないのか等、まだまだ深掘りする余地はあると、筆者は考えています。)

一部の特殊な方々は、こう考えるのではないでしょうか。「ワケのわからん奴らと、同じ空間にいなければいいんだ」と。特に、いわゆる"グローバリスト"と呼ばれる、飛行機を一種のタクシーのように利用される方々においては、これまで以上に、"一般人"との接触を避けるでしょうね。実際に、ほとんどの富裕層のインバウンドや、グローバリストの主戦場の多くでは、特定の優良顧客しか利用できない、専用のターミナルを設けている国もあります。

ある程度の金銭的な融通が利く"一般的な"ビジネスマンであれば、「LCCの混沌とした登場前の行列」を避けたいと思うでしょうし、「東南アジア離発着のゲート界隈の"バックパッカー野戦病院"」なんかも、絶対的に避けたいですよね。そして、流浪の民は、このように考えます。「どこかにオアシスはないか」と…。

レベル上げ競争

枕が長くなりましたが、要は、今後、この生存競争下で生き残った航空会社は、必然的に「客単価を上げようと画策する」ことに間違いはありません。そして、顧客の"クラス"を、これまで以上に明確に分断し、差別すると考える次第です。その一連の流れの中で、各航空会社運営のラウンジを利用する権利は、高くつくようになるのではないでしょうか。そして、仮に、カオスな状況を回避でき、オノレの健康を守れるのであれば、高い航空券を買うであろうし、少しでも"マシな"席に座りたいと思うはずです。最終的な座席の位置を決める権利が、航空会社にあるのであれば、少しでも良い席に配置してもらえるように、媚びる。恐ろしい言い方ですが、「賎民は、荷物室でいいか」と言われても仕方がありません。(LCCの思想の根底は、それに近いものがあると思います。)

だいぶ先の未来には、おそらく国境だとか、「越境することの困難さ」のようなものは、過去の遺物として消え失せるのでしょう。海外旅行にしても、例えば、コンテナのような箱形の移動体(かつての車)に乗って空港まで行き、その車内で検疫やら出国手続きを済ませ、その箱のまま海外へ"輸出"される…。現地の移動も、帰国も同様に済ますことができる…。トヨタが標榜する"モビリティ"とやらを具現化するには、うってつけの思想だと思います。

参考:『トヨタが考える「未来のモビリティ社会」が、東京モーターショーから見えてきた

近いのか、遠いのか、見当もつきませんが、未来構想としては、実現可能な世界だと思います。ただ、仮にそれが"当たり前の技術"になったとしても、その恩恵をすべての人間が享受できるかというと、そんなことはないですよね。品行方正に卒なく暮らし、社会における高ポイント取得者になり、高所得者にならなければ、"幸せな生活"は送れないのでしょうね。かつての我々が描いた朧気な理想像のように。「世界は皆平等」とは、よく言ったもんですが、結局は、その想いは幻でしかなく、ひとつになったのは、我々を管理する政府だけだった、なんてことになりませんかね。

今回も見事な飛躍をし、着地点を見失ってしまいましたが、結論はこうです。「クレジットカード、いつ解約しようかな(たぶん、なんだかんだ理由つけて維持する)」です。

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6/15/2020

日本の金属スクラップ業界が疲弊すればするほど利するのは、海外の仕手筋です

陰鬱とした日々が続きます。ウィルス騒動も一時は鎮静化していましたが、また、都内での感染者が、数値上はハネているように報道されています。何遍も言いますが、結局は、お上のさじ加減です。実際の感染者が、増えていようが、減っていようが、お上にぶら下がるメディアが吐き出す情報しか、一般大衆の得られる客観的な情報は、ないわけです。

翻って、我々の金属スクラップ業界における、信頼のおけるメディアとはなんでしょうか。日本経済新聞でしょうか。産業新聞でしょうか。大手や業界新聞を読んでいると、「世間一般は、こういうことを考えているんだな」という、表層的な概要を理解することができるようになります。恐らく、どの資源系商社さん、スクラップ問屋さんでも、新人教育の際には、"ハナシのネタ"として主要業界紙を購読するように指導するかと思います。

なにを信じていますか

併せて、市中の相場観を養うために、影響力のある問屋さんの独自発信情報を定期的にチェックされている方も多いかと思います。大畑商事の価格表でしょうか。荒井明商店のブログでしょうか。東南アジアのスクラップ・ディーラーは、大畑さんのウェブサイトを、日本のいわゆる"通り相場"として捉えているようです。古くからインターネットの可能性を見抜き、パイオニアとして情報を発信し、今もなお継続して、そのポジションを確固たるものとされている。この影響力は、経営上の重大資産ですよね。

筆者個人の見解としては、いわゆる「業界の動向を追うため」、いわゆる「相場の動きを追うため」に、お金を払うことの意義が薄れてきているように感じています。「いくらで売れるのか」ということを知りたければ、問屋さんの独自発信情報をみれば済みます。かつては、LMEの前日終値を知る術が、新聞媒体や一部の大手商社の営業マンが持ち込む情報にしかなかったのかもしれません。ただ、現在に至っては、逐一、いわゆるアプリで相場をみることができます。要は、相場情報というものが、大衆化したということであり、陳腐化したということです。

ある程度タイムリーに、均質的な情報が流布することで、なにが起きたかと言えば、「過当競争」と「参入障壁の崩壊」です。極論を申し上げてしまえば、金属スクラップを触ったことがある人間であれば、誰もが知っている"ボリュームゾーン"にある商品(ピカ線、電線、サッシ等)は、「誰がやっても同じ」になったわけです。専門性云々以前に、「欲しいなら、良い値段出せよ」と売手優位の市場が形成されたわけです。最終的には、その他の"手の出しやすい"商材にも、その競争原理が働き、金属スクラップ全体の相場が押し上げられるかたちとなりました。

森を見て木を見ず

当業界における末端市場では、「地球のためにリサイクルしましよう」と標榜し、「期待値の低い金属屑を安値で仕入れる」ことが正義であったと思います。かつての需要家は、中小スクラップ問屋で大まかな選別がなされ、大問屋や専門問屋を経て品質の担保ができるものを、商社なり直納問屋から仕入れることを"筋"であると捉え、頑なにその商流に固執していました。しかしながら、いつの間にか、その"サプライチェーン"に綻びが出始め、最終的には、需要家が末端に営業をかけ、長らく保持していた原料調達の"エコシステム"を自ら壊し始めたのです。

はっきり申し上げますが、現在の業界を取り巻く惨状は、件のウィルスの"せい"でしょうか。確かに、大きな"影響"を与えましたが、本質的な要因は、どこか他のところにあるように思えて仕方がありません。確かに、業界の新陳代謝が必要なのかもしれませんし、ダメなところは、自然と淘汰されるべきなのでしょう。ただ、日本の金属スクラップ業界が疲弊すればするほど利するのは、海外の仕手筋です。"エコシステム"が適切に機能せず、彼らの介在余地がいかようにも存在する限り、日本の資源が安く買い叩かれるでしょう。そして、さらなる不必要な淘汰が起き、業界全体が路頭に迷うことになる。

よくある話

昨今、永続性のあるリサイクルを達成し、ビジネスとして捉えるべきであるといった論調が強まっていますが、言うのは簡単ですよね。なぜ、それがこれまでできなかったのか、どこに流出していたのか、どのようにすれば国内の資源が国内にとどまり、適切に効率よく再生できるのか。そういったことを、真面目に論議する必要があると考えています。

自分の畑を必死に守ることも大切だと思います。ただ、その命を育むためには、水路をひかなければならないし、有事の際に決壊しないように、治水にも思案を働かせなければならないかもしれません。「なにかおかしいな」と気付いたときには、既に「水源が枯れていた」なんてことは、よくある話です。


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6/11/2020

今回の騒動を確実に乗り切ることができたら、もの凄い大波に乗れるんじゃないか

いやあ、銅相場上がっていますね

このご時世、疫病だのなんだのと、全世界が慌てふためくなかでも、虎視眈々とオノレの稼ぎに生きる方々がいらっしゃいます。実需があろうがなかろうが、そんなことは、知ったこっちゃない。オレの関心は、相場の上げ下げだと。オノレのリスクのもとで、利益を最大化するために、ポジションをとる。カネを突っ込んで、自分の売りたいとき、買いたいときに取引をする。資本主義経済に生きる以上、こうやっていくしかないんだ。そういうことですよね。

もう少し、毎度の与太話が続きます。

昨日、とある有名人のYoutubeを観て、非常に感銘を受けました。なにが凄いのかというと、とにかく「リアル」であるということに尽きると思います。ここ数年のメディアトレンドとして、"キュレーション"というキーワードがありました。良く言えば、「わかりやすいように編集する」ということでありますが、実際のところは、「情報をうまく切り貼りして、新たな意味や意向を付与する」ことが前提となっていたように思います。平たく言えば、テレビ局の偏向報道に使われる専門家のコメントですよね。真意と報道の内容に大幅な乖離が生まれるときがあります。

"リアル"ってなんだろう

彼の広告媒体としてのYoutubeには、それがないんですよね。当然、ご自分で編集からアップロードまでやってらっしゃるのでしょうから、他者のバイアスの影響はありません。それにしても、「胡散臭さ」が一切なく、好印象しか受けません。言うなれば、彼の"人間味"が遺憾なく発揮されている。声のトーン、顔の表情、家族との関係性、どれをとっても、負の側面を感じさせません。まあ、でも、実際にお会いしたことはないので、実物の彼が、どのようであるのかは、まったく知るよしもありません。ただ、スクリーンに映る彼は、これまで持て囃されていた当時のそれと、まったく違った印象を与えることに成功しています。

リンク:与沢翼さんの公式Youtube - 『でかい商流を完全否定「与沢の流儀:第37条」

与太話は、まだ続きます。

この「リアル」から、なにを引き出したいのかというと、そうです。トランプさんですよね。劇場型政治を体現した男です。(日本にも、時の米国大統領に対して、ティアドロップ・プレスリー外交で媚びへつらった"名優"もおられますが、ラベルが違います。)個人的には、氏のファンです。なぜ、彼のことを好むのかというと、「世の中には、"真実"なんて存在しない!そんなもんは、どっかの学者やら政治家がつくるもんなんだよ」と明確に打ち出したからです。現在の人種差別問題に絡んだ暴動騒ぎをみていてもわかります。色んな人が、色んな"思惑"で蠢いています。

歴史はつくられるもの

かつての公民権運動にしても、90年代のロサンゼルス暴動にしても、それ以前に、なんらかの問題があって、国民の憤りがあって、なにかの弾みで、爆発した。それだけなんですよね。今、起きていることを、ひとつの事象として纏めることに意味はないし、"真実"なんていうものは、どこからでも借りることができるし、なんとでも言うことができる。大きな拡声器を持ったメディアなんかが、過去の美談やら悲劇をうまく"キュレーション"することで、歴史はつくられています。

そろそろ、本題に入りたいと思います。

かつて、『ポケットにブローニングを | 稀代の相場師、是川銀蔵について』という記事をポストしました。その中で、氏の境遇をまざまざと突きつけられ、筆者はこのように思いました。

時代は、少しずつ姿かたちを変えながらも、結局は、同じようなところに回帰するということです。それが、相場でもいいですし、時代に持て囃されるものでもいいですが、だいたい原点に戻ってくるわけです。人間のサガとでも言いましょうか。なんだかんだと新しい物事をつくっているようで、本質は人間の想像力なり、創造する力の域を出ることはないのでしょうね。

氏は、"稀代の相場師"と言われていますが、著作を拝見する限り、少なくとも"投機家"ではない。投資対象にきちんと対峙し、確固たる自信と信念、研究のもと、お金を突っ込むか、突っ込まないのかを決めている。そして、自分の利益を最大化するために、ありとあらゆる施策を講じるわけです。日本一の産金量を誇る、住友金属鉱山の菱刈鉱山への投資を行ったときも、過去のデータや歴史を参考にしつつも、そのときの時流やオノレの経験値をもとに、GOとされた。胆力も凄いが、本当に凄いのは、考える力です。

参考:住友金属鉱山|『菱刈鉱山のココがすごい!

長くなるので、これ以上与太話はしません。ひとつ言えるのは、「今般のウィルス騒動を確実に乗り切ることができたら、もの凄い大波に乗れるんじゃないか」ということです。だけど、それを実現するには、誰よりも考えて、誰よりも早くアクションを起こさなければならない。難しいことですが、少しずつ着実に、成果を積み上げていきたいと考えています。

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6/08/2020

ダチョウ倶楽部のオレがオレからの、どうぞどうぞ

前回のポスト(『金属スクラップ原料の流通も、厳しくなりますねえ』)から、既に1週間が経ちました。時間の感覚が、以前に比べ、"重く"なったような気がしてなりません。これは、筆者独自の感じ方でしょうから、人によっては、以前より"軽く"なったと感じるかもしれません。ただ、ひとつ間違いなく言えることは、「不確実性の高まりが、"これまでの当たり前"を、"そうではないモノ"と変えた」ということではないでしょうか。

ベースメタル全般において、相場の上昇傾向が続き、この1週間のあいだに、幾ばくかの流動性の改善というモノが見えてきたのかもしれません。現に、銅のソレは、中国の景気がどうのこうのといった、謎の下支え要素を根拠に、高止まりしているように見受けられます。彼の地では、なんと言おうと、実際に生産活動も消費活動も活発化しているようですし、官製であることは否定できませんが、"いちおう"は実需も底堅いようです。

時代錯誤もほどほどにしてくれよ

でも、まあ、冒頭でも触れましたが、「これまでの当たり前は、もう当たり前ではない」ということは、常に頭の片隅、いや、常に眼底に刷り込んでおかなければならないと思います。この有事下において、「誰にいつ、梯子を外されるか」ということは、予期できません。これまでも、同じようなことを言ってきたような気がしますが、これは、これからのトレンドになりますよね。「かつて調子が良かったから、これからも大丈夫だろう」というのは、二昔前の与信管理手法ですよね。お互いに支え合っていたから、ある程度の"ボヤ"は未然に防げたのでしょうが、今は、必ずしも利害関係者が助けに来てくれるわけでもない。助けに行く余力がないかもしれない。

ハナシは、いつものごとく脱線しますが、最近殊に強く思うことがあります。あれだけ、「屑屋はなくならない」と強気だった方々が、揃いも揃って意気消沈しているなあということです。これだけ、流動性が少しずつ戻りながらも、頼りの中国が満面の笑みで「(ちょっと安いけど)買うよ!」と愛想を振りまいているにもかかわらずです。

よくよく聞いてみると、「設備投資しちゃったから」だとか、「資金が回らなくて」とか、「(非鉄分高いにもかかわらず)上雑品が安い」いうことらしいです。"未曾有(みぞう)"とは、「て、こんなことがっただろうか」という意味らしいですが、まさに、未曾有の不景気にあれば、「これまで当たり前と捉えていたキャッシュ創出力も陰りを見せる」わけです。

ダチョウ倶楽部的な「オレがオレが」

しかも、「ベースメタル全般相場は、(今のところ)底堅い」が、「スクラップ相場は、それに追随しない」という事象が、ぐいぐいぐいぐい、真綿で首を締めるかのごとく、事業者を追い詰めます。かつては、金属建値に対してのパーセンテージ及びレス幅が明確に決まり、最終需要家に近ければ近いほど、建値に近づく(=売値が高い)という純然たる事実が横たわり、誰しもが「あそこ(メーカー直納問屋)に出せば、高く売れるに決まってる」みたいな暗黙知がありました。つまり、その"あそこ"をどこにするか知っているか否かが、事業の採算性、永続性、並びに集荷力に直結していたわけです。

ここにきて、大手の問屋群が、まず一斉に、「左団扇のどんと構え営業スタイル」から手を引いたわけです。あるところからは、これまで通りの料率、あるところからは、大幅に条件を下げて買うようになる。一方で、競合がその隙間を狙って、ある程度いい値段を出すようになりますね。最終的に、大陸がいち早く需要喚起を行ったために、中華系の業者がその消耗戦に首を突っ込むようになる。そのような構図が、昨今の非鉄金属スクラップ業界に見受けられます。たぶん、妄想です。

ダチョウ倶楽部的な「どうぞどうぞ」

これまでも、これからも、「金属リサイクル業界における淘汰は進む」という視座に迷いはありません。ただ、残念なことに、今現在、「じゃあ、どうするの?」というHOWの部分に対して、是正案を提起できるのかというと、それは自信がありません。むしろ、それに抗うことが"正"のかという点についても考えなければなりません。自分の身の丈、目標、やり方、すべてを見直さなければならないことは、この業界に限らず、妥当な方向性であることは間違いないようです。

そうですか、中国製のナゲット製造機を安価で調達しますか。歯のメンテに、意外とコストかかりますよね。乾式ですか、湿式ですか?はあ、湿式ですか。排水の管理も、ゴミの処理も大変ですよね。これから、行政の目もさらに厳しくなるでしょうね。いずれにせよ、母材となる電線の集荷に腐心する日々が続きますね。中国も、これまでと同じように製品としてのナゲットを買ってくれればいいですが。向こうでの関税も…
そうですか、雑品の破砕機を導入しますか。いやあ、あれも投入する母材の目利きひとつで、総合的なコスト負荷が、まるっきし変わってきますよね。最後は、手で選別しますか。うわあ、人材育成コストも維持も大変だあ。篩下とかどうしてます?まあ、ダスト多めなら輸出しちゃいますか。中国も、これまでと同じように…

あまり、煽るような言い方にならないように気をつけますが、結局は、能書きたれても(自分のところの事業含め)中国頼みなんですよね。巷のレストランが、「メニューをiPadで表示できるようにしました」と言うのとなんら変わらないですよね。本質は、一切変えていない。筆者の祖父がよく言ってました。「"これまでの当たり前"を踏襲していたら、ただの堂々巡り」であると。

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6/01/2020

金属スクラップ原料の流通も、厳しくなりますねえ

いつのまにか、緊急事態宣言が解除されました。当初の予定では、6月明けてからということだったのでしょうか。筆者の予想としては、6月の6日前後かなと思っていました。山師の勘 とでも言いましょうか、全くもって根拠のないハナシです。ただ、安倍首相の"采配"というものを振り返ってみると、どうやら古から受け継がれる、二十四節気に関係があるのではないか、そのように思わせる局面が多々あります。いわゆる、太陽の動きをみて、夏至だとか冬至だとか言い表す暦の世界ですね。次回は、まさに冒頭で言及した6月6日。そして、この日は満月も控えているわけです。ちなみに、この暦には、平気法(日数換算)と定気法(角度換算)との二種ございます。筆者が用いるのは、後者です。

虚勢を張ることの空しさ

おそらく、首相お抱えの占い師(昔で言うところの陰陽師)が、「この日がいいんじゃないか、あの日じゃ縁起が悪い」などと吹聴しているのでしょう。そして、今般の早期解除に関しては、首相自身が強権を用いて、威勢の良さを発揮するために、無理矢理、周りとの足並みを揃えずに、「やってしまった」事案だと邪推しております。どうでもよろしいハナシですが、政権の内部で確執が深まっていることは、間違いない事実のようです。

かつて、当ブログで『アフリカで花開く一帯一路 (2019/10/22)』という記事をポストしました。内容としては、コンゴ共和国で行われている、中国主導の採掘プロジェクトについてです。ここのところは、一帯一路に関する情報をあまり目にしませんが、かつてもこれからも、中国によるアフリカへの"技術援助"の歩みは、着実に進められていきます。ギニア共和国からのアルミナ輸入に関しても、同じことが言えますが、彼の国は、本当にしたたかです。緻密さはないですが、明確な指針を打ち出し、コンクリートのような数値目標をキャンバスに描き、冷徹なまでに"それ"を遵守させる。やるか、なかったことにするか。成功か、死か。ものすごい両極端です。

筆者の個人的な見解ですが、おそらくアフリカに進出した中国企業は、「コンプライアンスを守る」だとか、「アフリカの方々と互恵関係をつくる」などと考えて、仕事はしていないですよね。「自分さえよければいい」と言ってしまえば終わりですが、「目先の利益を最大化すること」しか考えていないのかもしれません。結局のところ、「アフリカはニュー・フロンティア」でしかないのです。

このハナシが、安倍首相の"強権"と結びつくかはさておき、彼の国も、必死ですよね。強く出ようとすればするほど、面子が邪魔して、引くに引けない。やんややんや言われて、頭に血が昇って、そのテンションで言い返してしまうもんだから、余計なことまで口走ってしまう。結構に、焦っているのでしょうね。

日本のスクラップ屋さんに元気がない

翻って、我々の業界の現況について、言及します。今、間違いなく「モノ(カネ)の流れが悪くなって」います。景気が悪いからモノが売れない。売れないから、モノづくりができない。材料を使わないから、材料メーカーも稼働しない。稼働しないから、原料はいらない。いらないから、スクラップ集めない。集めないから、仕事(カネ)にならない。末端にまで仕事が回らないから、消費が起こらない。延々と負のループに突入しています。

通常であれば、景気が悪くとも、多少の消費活動があって、モノの価値にひずみができて、"それ"に対しての思惑が動く。その影響下で相場が動いていたわけですが、今回ばかりは、そのように問屋は卸してくれません。移動するな、知らん人と関わり持つな。癒着するな。相場モンを商いとする我々のような業界にとって、これは死活問題ですよね。

正直、これまで高買いして、必死に集荷されていた業者さんにとって、「癒着できない」ということが、どのような意味を持つのか。それぞれの現場で、お互いがうまく回るように、"調整"できたことが、これからは、もっともっと難しくなる。人間関係も希薄になりますね。急に立ち回りがおかしくなって、これまでの関係にひびが入ることも出てくるかもしれない。この"流行病(はやりやまい)"の恐ろしさは、「気に作用する」という点にあります。

どこを通すかが商売の要になる

製品サイドでは、"トレーサビリティ"ということを、もの凄く気にされます。特に、自動車部品関係なんかは、非常にシビアです。どこの商社が、どこのメーカーから買ってきた材料なのか。そして、そのメーカーは、「いわゆる紛争地帯から原料を入手していない」という報告書(Conflict Minerals Report)を発行しなければなりません。これをもって、最終需要家である車輌メーカーまでの商流が、丸わかりになる、そのような思想のもとで運用が"形式的に"行われています。

参考:『今からでも遅くない紛争鉱物規制の理解【前編】

確かに、「厄介なところから、怪しいモノを買わない」という点では、ある程度の抑止力があるのかもしれません。ただ、スクラップ原料を扱う人間からすると、「そんなの、なんとでも申告できるよな」となります。だって、「溶かしちゃったら、どれがどこから来たのかなんて、わかりっこない」んですから。

結局のところ、需要家側だって、"そういう案件"が一番儲かることはわかっています。真面目ぶって、綺麗事ばかり言っていたら、競合に呑み込まれるだけです。これまでだって、お抱えの問屋をフィルターのように使い、しれっと色んな"エグい"もんを使い込んできたわけです。ただ、これからは、そういうことも難しくなります。なんせ、越境のコストが上がることによって、現物の確認が難しくなるからです。

じゃあ、今後どうするのかと言えば、おそらく、メーカーからみた、品質に対する与信スコアの高いところとしか商売をしないというかたちに帰結するのではないでしょうか。要は、間口を狭める。いわゆる"直納"の枠に、プレミアムがさらに乗っかるわけです。言い換えれば、スコアの低い業者は、必然的に淘汰されていく。じわりじわりと購買条件を下げられ、ある日突然、出入り禁止になる。これは、モノが流れない状況下では、当然の流れと言えると思います。

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