3/26/2021

黒船に備えよ!時代は思いの外進んでいるようです

今回は、投稿100回を迎えるにあたり、ライトでわかりやすい路線で攻めてみたいと思います。

3/24、政経Twitter界隈では、“世紀の珍事”が話題となっておりました。そうです。例の「コンテナ船、スエズ運河にすっぽりハマる」という、なんとも(はたから見たら)微笑ましい事件です。

貿易関連の方々は、「オオカミが来たゾ!」的なスタンスで、「海上運賃上がるよね」と言います。地政学関連の方々は、「有事の際に、こういった不測の事態が重ねて起こると、政情不安を煽るよね」と言います。陰謀論関連の方々は、「オー!エバー・グリーン!どこの誰から指示を受けて、なんの意図があって、こんなことをするんだ!」と言います。

それぞれの思惑や想定でモノを語るので、当然のとこながら、所属しているクラスタ毎の見解の色に差が出ます。決して、それらが間違っているとか、理解できないとか、そういうことではありません。ただ、「ひとつの考え方、視点に拘る」と、コトの神髄が見えなくなったり、別の要素を理解することができなくなって、最終的に損をしたり、無駄骨を折ることに繋がってしまいます。

クルマがつくれないよ

今、「半導体不足で自動車生産に支障が出ている」というニュースが飛び交っています。しかしながら、本当に、「半導体がないから、車をつくれない」のでしょうか。

東レさんは、原料の確保ができないことから、“フォース・マジュール”を行使されました。かつて、当ブログにおいて、『不可抗力事項(フォース・マジュール)を行使されたとき、なにができるか』という記事をポストしました。当該記事の中で、筆者は、「これまでも、これからも、『国境をまたぐ』ということは、様々な利害関係者、既得権益者の頭の上を飛び越える行為です。彼らに失礼があってはならないし、揚げ足をとられないよう、きちんと知識と誠意をもって対応しなければならない」と述べさせていただきました。

まさに、今この瞬間、「モノづくりができない」大きな事由は、単に「特定の一部の部品が足りていないから…」ということではなく、概して「あらゆる商品のサプライチェーンが寸断されている(されかねない)から、憶測が憶測を呼び、原料・資材を調達する側が疑心暗鬼になり、“幅”を見るしかないし、供給側も急激な要求増に対応できないから…」ということではないでしょうか。

オオカミが来たゾ!

簡単に言ってしまえば、「みんな、“実需”がどうのこうのと言っているが、蓋を開けてみれば、“実際の需要”は、そこまでナイのかもしれません」ということです。確かに、クルマに関しては、「内燃機関から電気自動車に置き換わると、銅の使用量が何倍にもなる」とか、「アルミと鋼板の溶接技術が確立されて云々」といった希望的観測もありますし、ベースメタル自体の必要性は確かに増すのでしょう。ですが、それは、「今の技術をベースに、これまで同様の生産手法とレシピを用いた場合の試算」でしかありません。

今後、新しい技術や素材が現れれば、「コストの嵩むモノづくりは悪」となり、バッサバッサと切り捨てられるはずです。つまり、「〇〇がないと、アレがつくれない」という発想自体がナンセンスであり、「〇〇が高いから、このパーツも、このパーツを使った最終製品も高くなる」という“当たり前”も通用しなくなる、ということです。実際のところ、ナイロン66に関しては、代替品の開発が急ピッチで進められているとのこと。



今までの“当たり前”がひっくり返されたときに

ハナシが飛びに飛びまくってしまい、大変恐縮ですが、肝はここにあります。先日、五味やすたかさんのYoutubeチャンネルを拝見しました。『黒船来航 に備えよ! 危機感を共有します。共感頂ける方はシェアを テスラ モデル3 【試乗レポート後編】』というタイトルです。

五味さんは、日本の自動車産業が固執する旧態依然の“モノづくり”に危機感を覚えていらっしゃるわけです。その中で、「テスラに採用された“インゴット生産”の技術」に関して言及されています。簡単に言えば、これまで、背骨(シャーシ)を「強度と軽さを両立した骨と骨の接合」して、“安全性”とか“走行性”を担保していたわけです。一方で、テスラは、その背骨を「型に流し込んで、ドーン!」で済まそうとしているわけです。いわゆる、“破壊的イノベーション”です。

日本の自動車メーカーは、内燃機関を中心とした重厚長大な産業構造を背景に、癖の強い素材・レガシーを生かす“匠の技”で覇権競争に打ち勝ってきたわけです。しかしながら、昨今の新トレンドに対し、あまりにも過去の栄光にすがるあまり、とても消極的な姿勢でいます。そんな“アティテュード”に、五味さんは憤られています。

翻って、非鉄金属スクラップ屋はどう向き合う

今後、テスラ車が廃棄されるようになると、どんなことが起きるのでしょうか。まず、左記でお伝えしたことではありますが、背骨はアルミ・ダイキャストです。同社の特殊合金でしょうか。汎用性はあるのでしょうか。他の自動車メーカーも、“インゴット生産”に切り替えるのでしょうか。

ハーネス部は、おそらく幹の部分以外は、アルミ線ですよね。モーターにしても、どうやらエナメル線を使わない、銅と鉄が一体(焼結)成型された特殊なモノらしいです。どうやって分離させましょうか。基本的に、半ば合金のようになってしまったものは、精錬に向けるしかないですよね。そもそも、高出力のバッテリーを積んだ車体の解体って、どれほど難しいのでしょうか。蓋を開けたら、中身は、バッテリーとモーターだけだったみたいなことになるのかもしれません。もはや、昔懐かし“ミニ四駆”の世界です。

もっと言ってしまうと、電気自動車の解体利権って、メーカー側が全部握ってしまうかもしれませんね。いわゆる、“エコシステム”をモノづくりだけの範疇だけでなく、製造から原料への再生までの一連の“輪”として捉えているのかもしれない。これは、筆者の妄想に過ぎませんが、昨今の潮流から考えれば、案外あり得るハナシです。アップルがやっているような、再生品・廃棄品の流通管理と通ずるものがあります。

まあ、細かいコトを考えても、どうしようもないし、「なるようになる」と考えなくてはいけませんが、少しでも、“未来”を描く訓練を続けていないと、あっという間に淘汰されてしまうような気がしてなりません。

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3/24/2021

お付き合いは、大切に(マレーシアは、スクラップ貿易に制限をかけるそうです)

ずいぶんと暖かくなりましたね。陰鬱な世相を嘲笑うかのように、桜が咲き始め、穏やかな風が頬を伝います。

先日より、遠方への営業活動を再開しました。気心の知れた方々にお会いし、昨今のリサイクル・金属原料動向に関する情報交換を行いました。やはり、血の通った“お付き合い”を実現するには、きちっと面と向かい、膝を突き合わせる必要があります。どうにかこうにか折り合いをつけ、お互いが納得した上で、取引を行う。それは、至極当然のことなのですが、昨今の“インスタントなカタログ商売”に慣れてしまうと、ついつい忘れてしまいます。

“情報化社会”などと叫ばれて久しいですが、今、巷に溢れるその“情報”とやらは、真に正しいのでしょうか。嘘か誠かも判別できないまま、「ネット上で人気だから、なんとなく」買ったり、売ったりしていないでしょうか。卑近な例で言えば、特号銅線なんかもそうです。仮に、キロ当たり900円が「ネット上での最高値」だとしたら、大勢の方が「まあ、そんなもんかね。銅も上がったし」などと捉えてしまうことでしょう。

しかしながら、過去の“料率”と比べた場合、明らかに“金属スクラップ相場”は割安だと思います。これは、銅に限らず、日本に限らず、世界的に起こっている“変化”の一部でしょう。これは、買う側が、これまで行われていたような「建値に対しての絶対的な料率」で取引しなくとも、背伸びしなくとも、「十分に買える」ということの証左であります。言い換えれば、売る側の“期待値”の水準が、「これぐらいが丁度よい」と示しているわけです。

一喜一憂と安定

ただ、今後、もし仮に、「今の相場水準が当たり前に」なったり、「スクラップ供給(発生)が、さらに先細る」ような事態に陥った場合、当然のことながら、競争が激化してゆくわけです。でも、料率はあまり改善されない。だって、買う側としたら、「先月、この値段で売ってくれたでしょ」となるからです。つまり、お互いの合意形成が“そこ”にあったのに、次の日には、見当違いの“期待値”を吹っ掛けられても、「そうは問屋が卸さない」わけです。

そこまで言うんだったら、「毎月、同じ量を同じ品質で、きちっと納入してください。よそは、その瞬間で高値を提示するかもしれませんが、うちは毎月、同じ料率で買いますので」となるわけです。いわゆる、「切った張ったのはったり商売」ではなく、「血の通ったお付き合い」が求められるわけです。

確かに、今の現状は、殺伐とした乱世に違いないのかもしれませんが、長い目で己の商売を俯瞰したときに、少なからずいくつかの要所で、「融通が利かない」事態に巻き込まれることもあるだろうし、いつか「調子のよいことを言う人」に足を掬われる可能性が現れるのではないかと考えてしまいます。“お付き合い”は、大事にしてゆきたいものです。

いつものマレーシア

さて、本題に入ります。ここにきて、また、マレーシアが「オオカミが来たゾ!」と騒いでいます。BIR(The Bureau of International Recycling)のウェブサイトに、概要説明がありましたので、DeepL翻訳したものをそのまま(一部、筆者修正)貼り付けさせていただきます。

国際貿易産業省(MITI)は、マレーシアに輸出されるすべての金属スクラップについて、出荷前の検査、承認証(CoA)の発行、荷下ろし前の出荷後の検査を要求しています。 本ガイドラインでは、CoAの発行、出荷前検査、輸入時の出荷後検査の要件を規定している。CoAには銀行保証が必要である。ガイドラインには、予定された廃棄物やその他の不純物に関する金属スクラップの[品質]基準が含まれている。特定の等級の金属スクラップはマレーシアへの輸入が禁止されている(例:Crushedスクラップ)。ここで重要なポイントがある。
  • スクラップをマレーシアに輸入する会社は、CoAの資格を持ち、申請しなければならない
  • 出荷前に、SIRIMまたは認定された外国検査機関(FIB)での検査が必要である
  • また、SIRIMにCoAの申請を行い、マレーシアの入国港で船上で出荷後検査を行う必要がある

丁度、2年ほど前、当ブログにて、『マレーシアの裏切り』という記事をポストしました。

当該記事の中で、筆者は、「東南アジアの国々というのは、基本的にガッツがありません。同地域の優位性は、安い労働資源が比較的容易に獲得できることにあります。それ以下でも、それ以上でもありません」と述べさせていただきました。また、「かつての(中国の)ような物量を定常的に受け入れ、“オフブラック”な荷物を見過ごすような度量は、既に持ち合わせていない」とも言及しました。

今回も、ああでもないこうでもないとジタバタしながら、“苦肉の中途半端な中庸策”を講じたフリをして、現状維持なのか。はたまた、ある程度の“制限”を設け、「欲しいモノだけ受け入れてゆく」のか。個人的には、後者ではないかと踏んでいます。大前提として、本当に大陸が、「マレーシアは、原料加工のハブとして生かされるべきだ」と考えれば、それ相応の“配慮”があって然るべきです。また、地政学上のリスクを考えると、海上ルートに依存してまで、マレーシアを軸にスクラップ貿易を無理くり維持する必要性もない。

マレーシアとしては、環境負荷の高い“後進国”と名指しされることは、なんとしてでも避けたい。でも、外貨獲得のためにも、スクラップ貿易は継続したい。そうすると、「じゃあ、量より質を追求するか」というハナシになるんだと思います。製品市場でも、マレーシアは、これまで「“付加価値”を高める場所」として機能してきた部分があると思います。例えば、エアコンに使われる銅管なんかも、そのようであると思います。汎用品は、タイで生産して、一部の特殊形状・仕様は、マレーシアで加工する。

国を閉ざすのが鎖国の目的ではない

まあ、そんな「どうなるかわからないコト」に固執するのは、やめにしましょう。ただ、「こうなったときに、こう動く」といった対策は必要なのかもしれません。個人的に注目しているのは、「マレーシアの入国港で船上で出荷後検査を行う」という部分です。字面だけを追えば、「輸出国側での事前検査・申請内容と、マレーシア側での受け入れ時のそれに齟齬がないか、実際に開梱して確認するよ」ということだと思います。

究極を言ってしまえば、「シップバック(見せしめ)案件をつくるための口実」ということではないでしょうか。だから、「認証を得る条件の中に、インポーター/コンサイニーの銀行保証が盛り込まれている」のだと思います。(これまで、当該条件が、現行のライセンス申請時にあったのか否かはわかりません。)つまり、今回の“騒動”は、マレーシア通関による「水際対策の強化」と「通関効率の改善」に集約されると考えています。

実際の“金属原料”の範疇を、「どこからどこまでにするか」という事務的な部分は、既に決まっていることなのかもしれませんが、実際のところは、もっと実利的な部分を加味して、“塩梅(コンセンサス)”が、政府のハイレベルで調整されていくことになるでしょう。もしかしたら、冗談抜きで「この国は、嫌いだから、検査厳しくしちゃおうかな」といった“差別”が平然と行われる可能性もあります。国際政治上のパワーバランスを推し量る一種のツールとして機能してゆくかもしれません。

ここで、ひとつ確かなコトを挙げるとすれば、「人は裏切る」ということです。「握手をしながら、相手の足を踏む」ことで、お互いの存在感を示す交渉の場では、当然のことですが、あまりにも、“当たり前”のようにお互いの思惑が合致し続けると、それを忘れてしまいます。「これまで、うまくやってきたんだから、明日もうまくいくだろう」といった慢心に繋がります。何度も申し上げますが、“お付き合い”は、大事にしてゆきたいものです。

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3/17/2021

梯子外しちゃうよ?

銅相場に関するハナシ、気になりますよね。ここのところ、アクセス自体は停滞気味なんですが、今までにないぐらい、色んな国々からのそれがポツポツと見受けられます。なんでしょうね。香港からのアクセスが増えたことも気になりますし、昨日の一段下げの様子も気になります。人によっては、一段上げのためのサゲだという方もいらっしゃいますが、前回のポストでも言及した通り、今起こっていることは、“虚構”の上に、過剰な“期待値”を積み増しているだけの砂上の楼閣に過ぎません。

利権構造が抜本的に入れ替わり、マーケットのトレンドも同様に変わっています。いつ何時(なんどき)、「梯子を外される」行為が行われるのかもわかりません。この“陰謀論”を真に受けてしまうのが、当ブログの売りです。その辺りは、十分にご承知の上、以下もご笑覧くださいませ。

ハリスさんの出番、秋ごろでしょうか

ハナシは少し変わりますが、バイデン政権。相当に覇気を無くしているようです。Mr.プレジデントの行動予定なんかをみてみると、どこぞの大企業の顧問によくありそうな、「まあ、だいたい朝9時ごろには会社に着いて、それとなく仕事をした感じにして、まあ、だいたい18時前後には家にいる」的な活動をされています。とあるソースによれば、「トランプの一日の行動計画は、だいたい深夜まで」だったようです。

参照: Joe Biden - President's Public Schedule

事実は、なんであるのか、まったくわかりませんが、「この有事において、平時と同じような働き方をしている」ということは、間違いないようです。そして、もしかしたら、「バイデン氏は、トランプ氏より働かない」ということを追及されても、予定を見る限り、反論するだけの余地はないのかもしれません。

あと、最近の西側諸国の軍事的な動きも気になります。米国テキサス・フロリダ界隈、中東の“ソワソワ感”をみていると、なにかに備えている様子がひしひしと伝わってきます。日本のワイドショーでは、「10万円の!高額接待!」のハナシが中心でしょうか。個人的には、「高級官僚の接待って、そんなにショボいの?」と耳を疑ってしまいます。

今朝も、LINE(通信)関連の疑惑報道もありましたが、もう少し、メディアには、「国内の小さな事象を国外の大きな動向に結び付けて」解説してほしいものです。現在の半導体不足による自動車産業への打撃にしても、日銀によるデジタル決済の開発にしても、件(くだん)のLINE疑惑に関しても、マクロで俯瞰した場合に、根っこの部分は同じであるように思えてしまいます。すみません。また、“陰謀”の影がちらりと見えてしまいました。

炭鉱のカナリア

そういえば、昨日、“銅のカリスマ”江守哲さんが、Youtubeで銅相場に関する解説をされていました。相場師の方だけあって、非常に興味深いタイミングで情報を発信されます。

もし、シリーズ化されるのであれば、上海相場についても、特性とか「LMEとなにが違うのか」ということについても解説いただきたいですね。

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3/15/2021

オオカミが来たゾ

「羊飼いと狼」というハナシをご存知でしょうか。もしかしたら、「オオカミ少年」という題名で記憶されておられるかもしれません。イソップ寓話に登場する、「羊飼いの少年が、『オオカミが来た!』と噓をついて大人たちを困らせ、終いには本当にオオカミがやってきて、飼っていた羊を食い殺されてしまう」という逸話です。

少年が「信用を失ってしまい、誰からの支持をも得られなかった」がために、このような惨事に陥ってしまいます。このハナシは、子供向けの寓話としてよく知られていますが、人として社会生活を送る上では、いくつになっても、このような“信用問題”について、真剣に考え、慎重に行動してゆかねばなりません。

スーパーサイクルって、陳腐な業界用語

最近、色んなトコロで、「金属は、需要が底堅いから、これからもアゲ続ける」だの、「100年間で数回あるかないかの“スーパーサイクル”に入ったから」云々といったハナシを耳にします。個人的には、大手証券会社のアナリストや、一部の金融機関が発信する、ポジション・トークの類だと思っています

仮に、そのようであったとして、仮に、彼らがいうところの“10年サイクル”が途中で崩れたとしても、彼らは、「どうやら、件(くだん)のウィルス騒動を通して、マーケットのトレンドは、根本から変わってしまったようだ!」などと、平気で嘯くでしょう。

要は、「モノは言いよう」なわけです。昨今、めっきり世間の耳目から姿を消した、「地球“温暖化”問題」とリンクする部分があります。為政者は、「CO2が地球の温暖化に繋がるんだ!(だから、絶対に削減しなければならない)」という思想を軟化させ、「最近になってわかってきたことなんだけど…もう少し、長い時間軸で地球の活動状況を俯瞰すれば、“寒冷化”することも十分に憂慮していかなきゃいけないんだよね…まあ、地球にやさしいことを続けていくことには変わりないんだけどね…だから、“気候変動”問題に、きちっと対応していきましょうよ」といった風情で、ハナシをすり替えます。

なにを守るために環境対策を行うのか

結局のところ、「CO2を排出することが悪」なのか、「資源を際限なく消費することが悪」なのか、判然としません。もし、前者なのであれば、既存の資源消費の仕方を維持しつつ、CO2排出を抑えられるような新技術に投資をしてゆけばいいはずです。しかしながら、今現在、世界では、「ロックフェラー財団が、エクソンモービルの株を売却」したり、「大手資源エネルギー企業群が、再生エネルギーに事業転換」しています。手詰まりでしょうか。

もう、この際だから言ってしまいましょうよ。「土をほじくり返さなくても、資源は身の回りにたくさん溢れているんだ」ということを。そして、「かつての資源エネルギーを取り巻く利権構造が根本から変わった」ということも事実だろうし、資本家が、「そもそも、このネタ、あと何年やるつもり?そろそろ、新しい商売のネタないの?」という突き上げを、大企業に対して行っていても不思議ではありません。陳腐化していませんか、ということだと思います。

The Wall Street Journalによれば、

参照記事:" Commodities Supercycle Looks Like a Stretch - Some investors are betting prices will surge over a long period, but history suggests the conditions aren’t right"

総じて…

  • 長期にわたって商品価格が連動して上昇する可能性は低い。このようなサイクルは稀
  • (スーパーサイクルは、)米国や中国などの主要経済国が急激な工業化や都市化を進め、既存の供給では対応できないような原材料の需要が発生した場合に発生
  • 資源価格の高騰が長期間続く場合、3つの事象が起きる可能性がある。1つ目は、1970年代のアラブの石油禁輸による不景気のような経済的ショック。2つ目は、採掘業者やエネルギー生産者、農業従事者が利益を得ようと供給を急ぐこと。3つ目は、より安価な代替品が現れるということ

原油に関連して…

  • エネルギー市場の国際的な指標であるブレント原油の価格は、10月末から82%も上昇
  • JPモルガン・チェース社の石油・ガス調査部門の責任者であるクリスティアン・マレック氏は、米国の生産は、連邦政府の土地での掘削制限や生産者の緊縮財政により、急激な消費回復に対して、供給が追いつかないだろうと述べている
  • しかし、実際には、坑井での排出ガスを削減の動きが生産コスト上昇に繋がり、大手石油会社は原油の代わりに再生可能なエネルギー源に投資している

銅に関して…

  • 銅の価格は2011年以降で最も高い
  • ゴールドマン・サックス・グループは、今後1年間で銅の価格は史上最高値の10,500ドルになると見ている
  • 金属価格は、旺盛な商品需要と経済の停滞からの脱却の恩恵を受けているが、この2つの要因はいずれも薄れていく
  • 新規プロジェクトが始まり、生産を開始する予定(供給力の改善)

決まりきったことを粛々と

この先、なにが起こるのかということは、「神のみぞ知る」ことであります。ただ、間違いない事実としては、只今の金属市況の盛り上がりが、「じゃぶじゃぶのカネ余り」を前提とした「理想の上に築かれた単なる期待値」でしかないということであります。そして、「環境規制による倫理的な“足枷(あしかせ)”」と、「ウィルス騒動による物理的な“それ”」が、生産活動(供給)回復の重しになっているということです。

そして、もし、現在の「うだつは上がらないのに、相場だけはいい」状況が、人為的なコントロールできる要素に左右されているのであれば、巷で騒がれているような“アゲ・トレンド”は、実在しないことになります。言い換えれば、「単に乗せられているだけ」です。もっと言ってしまえば、「コントロールできる側の人間は、終わりを知っている」ということになります。

普通に考えれば

それら“足枷”がなければ、我々は、これまで通りのモノづくりの仕方で、これまで通り、滞りなく生産活動ができたわけです。海上コンテナが不足することも、運賃が高止まりすることもなかったはずです。これまで通り、好きな時に好きなだけ海外に足を運んで、好きな人と好きなだけ商売ができたはずです。もっと言ってしまえば、各国政府による異次元の財政出動もなかったでしょうから、現在のような「じゃぶじゃぶのカネ余り」にはならなかったわけです。恐らく、相場も淡々と「それ相応の」水準で推移していたものと考えられます。

「オオカミが来たゾ!」

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3/09/2021

サーキュラー・エコノミーは、「一見すると単なる環境政策に見えるが、これは経済戦略」である

先日、書店でこんな雑誌を買いました。(画像をクリックすると、Amazonのページに飛びます。)

東京財団政策研究所研究員の平沼光さんが、『資源エネルギー覇権競争の大転換が始まった~EU、中国に伍し、日本が「資源大国」になる好機~』と題し、グリーン・ディール政策について言及されています。

グリーン・ディール政策に関する“ファクト”

筆者の思いはさておき、これまで検討されている政策や、展望について、本寄稿より引用させていただきます。

  • 国際再生可能エネルギー機関 (IRENA=International Renewable Energy Agency)曰く、「2050年までにCO2排出量70%削減、温度上昇を2℃より十分下方に抑えるために必要なエネルギー転換にかかるコストは19兆ドルだが、得られる利益は50兆~142兆ドル」である
  • サーキュラー・エコノミー(Circular Economy)は、「一見すると単なる環境政策に見えるが、これは経済戦略」である
  • 「日本のリサイクル法における再資源化とは、循環利用ができる『状態にすること』という形式的な準備行為にとどまり、とても欧州に対抗できるものではない」のである

グリーン・ディール政策に関する筆者個人の“思い”

CEに関して、結論から言ってしまえば、「(日本という国にとって)千載一遇のチャンスであることは、間違いない」と思います。と同時に、前回のポストでも登場した「“無理難題”でもある」ように感じています。要は、筆者は“悲観論者”です。

“チャンス”の側面から言及することは、誰にだってできます。日本には、金属を中心とした資源再生技術があります。世界中で鉱山開発をしています。巨大な資本があります。莫大な量のいわゆる“都市鉱山”が眠っています。確かに、それは事実なんですが、「じゃあ、それらの知財、人材、資源、カネをどうやって、効率的に利用するのか」という具体的な施策は、残念ながら我が国にありません。

つまり、“無理”の側面をよくよく探ってみれば、「希少な〇〇を廃棄物から回収・精製できました!(めっちゃコストかかるけど)」だとか、「廃棄家電由来のE-wasteから貴金属を効率的に回収する研究を!(もう、何年もやってるけど、家電リサイクル法絡みのリサイクラー利権に阻まれ、にっちもさっちもいかなくなっている。“旨い”トコロは、もう全部、先行者利益で持ってかれている)」みたいな感じだと思います。筆者の妄想でしかないのですが、おそらく「手詰まりな状態」にあるのではないでしょうか。

今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけない

そして、炎上したその“経済戦略”に、油を注ぐ某環境大臣。コンビニのスプーン有料化もいいと思います。なんか、こう、「身近にあるようで、身近にない、得体のしれない“ふわっと”したモノ」を、独特な表現で取り扱われる大臣ですが、もう少し、資源政策の持つダイナミズムといいますか、重要性を理解していただきたい。本当に、ビニール袋、容器包装のプラスチックの使う量を減らすことで、地球は喜んでくれるのだろうか。

テスラの排出権取引(環境規制を守れない競合から得られるクレジットセールス)に関しても、同様のことが言えますが、結局のところ、巷で騒がれている“グリーン(そういえば、最近、“エコ”というコトバをあまり聞かなくなった)”だったり、「環境に良い」という美辞麗句の裏には、なんか“胡散臭さ”が漂う。

大義名分として、「地球のために…」と捲し立てるが、結局は、「利権のために…」なっていないだろうか。カッコイイEV車の電池を充電するための電力は、どうやって確保していけばいいのだろうか。“グリーン”なことをやるためのコストが赤字だと知っておきながらも、「みんながすごい」と持て囃すもんだから、つい、容認しちゃってないだろうか。ここに、持続的な発展が見込めるのだろうか。

欧州の先進リサイクラーが放つ品質の経済性

5年ほど前でしょうか。以前勤めていた商社で、欧州へ営業活動をしていました。まず驚いたのは、彼の地の金属スクラップ業界は、大手ディーラーの寡占市場であることです。それぞれの会社に強い個性も感じました。次に、各社の“トレーダー”は、スクラップに触れる時間よりも、相場のリアルタイム・チャートと触れ合う時間が多いということ。完全に分業化しており、彼らは、「売買とリスクヘッジ」、現場作業、企業経営は、まったくの別物であると考えているようでした。

最後に、最も特筆すべきことを挙げます。それは、一部のリサイクラーに限った話ですが、いわゆる“ミックス・メタル”が、「ミックスなんだけど、ミックスじゃない」ということです。ミックスなのに、一丁前の値段で取引されているのです。なぜかというと、「中身(各金属毎の成分比率)が一定だから」です。つまり、「雑多なものを破壊して、選別して、成分を調整した上で、もう一回、ミックスな製品をつくる」のです。

なんで、そんなことをするのか、なんで、単一の金属に仕上げないのか。答えは、おそらく、金属スクラップの付加価値を上げるための王道、すなわち“格上げ”にあると考えています。しかしながら、この場合において、どうにかこうにか、手間暇かけて「普通のモノを“格上”のグレードにする」という思想は当てはまりません。筆者の妄想では、「売りにくいモノを売れるようにする」という思想が当てはまるのです。

“売ること”って意外と難しいの

つまり、百人の群衆の中に潜在的な窃盗犯が一人いれば、大問題になりますが、一万人の群衆の中にいれば、「一人ぐらい」と黙殺されるかもしれないということです。悪さを働かない限り、“ワルモノ”は、「ある程度の質と量を安定的に獲得するための“必要悪”」なのです。スクラップに100%は、ありません。「少しぐらい悪いところがあって当然だ」という認識からスタートし、「少し悪いところがあっても、溶かしてしまえば、誤差の範囲に収まるから問題ない」と捉えるのです。これは、効率の追求と、経済合理性を客観的に判断できる環境下でないと実現できない思想かもしれません。(かつての日本における“モノづくり”の基本は、そこにあったと伝え聞いています。)

そういった背景があるからこそ、「雑多に見えるけど、実はスゴイ原料」に対しての評価があり、市場が成熟しているのだと思います。そして、“それ”を買うユーザーが、そのままないし、ある程度の前処理で“原料”として炉に投入できるからこそ、通常では考えられないような“ミックス・メタル”の値段が存在するのでしょう。もはや、合金を製造する上での添加剤ですね。

プライスリーダーが決めること

幸か不幸か、「欧州が、グリーン・ディール政策の舵取りを担う」ことは間違いないようです。CEに関しても、欧州の理想、思想を踏襲するものと考えられます。つまり、グリーンな世界における“善し悪し”を決めるのは、欧州(と、蜜月関係にある中国)なのです。欧州の規範に沿った再生原料は良くて、それ以外はダメなんです。少なくとも、大陸向けの製品の原料としては使えない。

冒頭の平沼氏が指摘している、「日本のリサイクル法における再資源化とは、循環利用ができる『状態にすること』という形式的な準備行為にとどまり、とても欧州に対抗できるものではない」という理由は、まさにここに横たわっているのです。もし、日本のミックス・メタルを取り巻く環境が、「破砕して、アルミだけにしたから買ってくれ」なのであれば、欧州は「うちの製品は、成分を調整するための添加剤です。御社のお望みの成分を、お望みの量でお届けします」なのです。

出発地点や、産業構造がまったく違うので、一概に「欧州は素晴らしい!」とは言えません。ただ、「欧州の思い描く理想が正義」なのであれば、それに対して、できる範囲で順応してゆくことが、商売人の努めではないでしょうか。利益を最大化するために。

お知らせ

ここからは、当方の宣伝となりますが、みちるリソース(今井満資源開発)は、資源開発ディベロッパーとして、身近な潜在資源を金属原料に仕上げることに邁進してゆきます。資源循環を実現する上での“答え”を導き出すことは容易ではないですが、時代に即した“最適解”を提案できるよう、尽力します。金属スクラップの加工・選別・製品化までのプラントの提案も可能です。ご意見、ご質問等は、HOMEページに設けました、お問い合わせフォームよりお願いいたします。

リンク:みちるリソース(今井満資源開発)お問い合わせフォーム

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3/07/2021

中国向け鉄スクラップHSとH2のスプレッド拡大も気になるけど、もっと先のことを考えてみた

久しぶりに、新しい「みちるリソース(今井満資源開発)」のロゴを追加しました。特に、図柄に意味はないのですが、「銅相場関連はコレ」だとか、「CE(サーキュラー・エコノミー)関連はコレ」とあらかじめ決めておいたモノの中から、その日の気分で選んでいます。今回の新ロゴは、鉄鋼関連のネタを掘るときに使ってみたいと思います。

韓国を潰しにかかる中国鉄鋼メーカー

非鉄ばっかりやっていると、鉄鋼関連のニュースに疎くなります。ここのところ、非鉄ベースメタル相場の急騰だけでなく、業界人の間では、鉄スクラップの「アゲ相場」の話題が盛んに行われていました。すると、今まで「相場のことなんかわかんねえ」などと弱気だった方々が、「今後、中国が鉄スクラップを買っていく。だから、相場は底堅いはずだ!」などと自信あり気な雰囲気です。

argusmedia.comに、興味深い記事を見つけましたので、概要をかいつまんで共有させていただきます。

参照: "South Korean steelmakers sell scrap to China"

  • 韓国から中国への鉄スクラップの輸出販売が行われ、韓国の製鉄所の間では、韓国の国内市場で生産された高品位スクラップを中国のバイヤーとすぐに競争しなければならないという懸念が生じている
  • 韓国からの3,000tのHSグレードのスクラップカーゴが先週、495-498ドル/t cfr中国で販売されたと聞いている。これは試験的な貨物である可能性が高いが
  • 中国の工場は韓国からスクラップを調達することができるが、中国は鉄スクラップの輸出に 40%の関税をかけているため、逆に販売することはできない
  • 中国がHSを購入することで、H2グレードとの価格差が拡大する可能性が高い
  • 現在の韓国の HS-H2 のスプレッドは、先週の H2 が日本で 42,500 円/t で取引されたことから、4,000 円(37 ドル)前後と推定される
  • 中国のバイヤーが購入している HS-H2 のスプレッドが、韓国の工場が日本の HS スクラップに対して提示している価格を少なくとも 4,000 円上回っていることを意味する

ここで筆者が関心を寄せたのは、「韓国の苦境」ではありません。散々、非鉄関連のネタでも言及していることですが、「“ウワモノ”とそれ以外の値差(価格差)が広がっているよね」という点です。未来永劫、このような状況が続くのかと言えば、そうは問屋が卸さないわけでして。

大陸の“爆買い競争”で疲弊するのは、大陸人

足元の状況を一言で表すのであれば、「中国が、商品性と流通性が担保できるモノ(=素人が見ても、なんとなく“それ”だとわかるモノ)を“爆買い”するための品定め期間」であります。世界各地から商品を取り寄せ、「どこそこのそれは良いが、どこそこのそれは悪い」といった“品評”から始まり、「ここのそれは少し悪いんだけど、どこそこに旨味があるから、どこそこを抑えれれば、まあ、普通に流通させてみよう」といった“忖度”もあるのでしょう。

あとは、もう、息のかかった中国国内の目利きバイヤーに指示を出して、ある程度の量を確保させ、あとは「華麗なる成功者」を演出するだけです。時を経るにつれ、世界中で「私も成功にあやかりたい」と、同じようなことを始める方々が現れ、ある程度は成功するのでしょう。また、場合によっては、“見せしめ”が行われるでしょうから、ある程度の“犠牲者”も生まれます。

日本国内においては、市場におけるプレイヤーが相当に増えた時点で、価格競争もさらに激化するでしょうから、相場の上げ下げ、資金繰りでも“犠牲者”が出てきますね。今度は、ウワモノを右から左に扱うだけでなく、「ウワモノをつくる」ことに腐心する方々も増えるでしょうから、“スソモノ”の値段も上がってゆくことでしょう。機械設備の価格高騰も見受けられるようになるでしょう。欧州の機械メーカーが、攻勢をかけるでしょう。もしかしたら、この時点で、ある程度の機械設備を持っていない業者は、既に淘汰されているのかもしれません。

最終的には、「ウワモノの持つ相対プレミアム感」は解消されるでしょう。むしろ、「金属スクラップの総体的な価値が上がっている」かもしれません。近い将来、都市鉱山の持つポテンシャルがいかんなく発揮されるようになるからです。土をほじくり回して、どうにかこうにか金属を採集する未来は、持続しないのです。資源は、身の回りに転がっているし、「寿命を終えた製品の中から、各種資源を回収すること」が当たり前になるのです。

ウワモノづくりに腐心した方が、持続可能性あるよね

見事に脱線しましたが、筆者がお伝えしたい持論は、ただひとつ。スクラップの相場って、「“金属市況とは別の思惑”の下で、誰が決めたかわからない“指標(イメージ)”によって、だいたいが決まっている」ということです。だからこそ、相場の上げ下げ、“プレミアム感”で一喜一憂するよりも、実際に「プレミアムをつくる」べきだと思うし、“スソモノ”を有効に活用する術を身に着けるべきだと考えています。このノウハウが、永続的な利益の源泉となります。

ここからは、当方の宣伝となりますが、みちるリソース(今井満資源開発)は、資源開発ディベロッパーとして、身近な潜在資源を金属原料に仕上げることに邁進してゆきます。資源循環を実現する上での“答え”を導き出すことは容易ではないですが、時代に即した“最適解”を提案できるよう、尽力します。金属スクラップの加工・選別・製品化までのプラントの提案も可能です。ご意見、ご質問等は、HOMEページに設けました、お問い合わせフォームよりお願いいたします。

リンク:みちるリソース(今井満資源開発)お問い合わせフォーム

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3/05/2021

未来を創造してゆくための“枝葉”の部分

2月は、まったく当ブログの更新ができませんでした。

端的に申し上げれば、単純に精神的な“余裕”がなかったということなんです。今回のポストにも繋がるハナシでもありますが、未来への先行投資と言いますか、いわゆる研究開発的な仕事に没頭していました。まあ、“投資”だとか、“研究”なんてコトバは、所詮、言い訳でしかなく。言い換えれば、様々な「本来やるべきこと」を後回しにすることであり、足元に転がる商売のネタや情報を絶つ行為です。筆者のような零細個人商店規模で、カッコつける“余裕”は、本来ありません。辛酸を嘗めております。

持続的に“新たに開発”する必要ってあるんだろうか

いわゆる、SDGsというホットワードというか、リベラル思想の一端について、最近思うことがあります。この筆者が抱える一種の“拒否反応”が、反射的な“拒絶”ではないことはご承知ください。ある程度の概要を勉強させていただいた上で、「これを実現したところで、誰が得するのか」という点について、疑念を抱いています。そして、「その開発行為の終着点は、どこに見出しているのか」という点につても判然としないがゆえに、共感できません。

個人的な勝手な解釈で恐縮ですが、これは、結局のところ、「いわゆる先進国(富める)側が、後進国(富めることを許されない)側に押し付ける難題である」と思うのです。仮に、ジェンダーや人種、雇用、教育の機会均等が、後者の社会において本当に実現すれば、前者に引けを取らない優秀な人材が、雨後の筍のように誕生します。そして、熾烈な競争社会の中で、血気盛んな若者が「なにをしてでも、自分はナンバーワンになるんだ」と腹をくくって、国際社会へ繰り出してゆくことになるでしょう。それが、リベラル層の推進する世界です。確かに、表層的な部分では、素晴らしい。ただ、もっと現実的な視座で物事を捉えれば、「すべての人が満足(納得)できる社会」を実現することは難しい。

個人的には、この手の“崇高なる理想”には、“格差”の匂いを感じざるを得ません。キャプションをつけるなら、「おい、お前ら。確かに、チャンスは平等に与えるとは言ったけど、俺たちの庭に入るなら、俺らがつくったルールはしっかり守れよな。あと、権益の泉に近づくなら、俺らがつくったテストに合格してからだな」といった、前者から後者への当てつけです。

例えば、某経済紙で選出される「世界を変えるほどの影響力を持った100人」は、これからも100人なわけです。同様に、「国際政治における真のキーパーソン」は、いつまでたっても、同じような顔ぶれなわけです。

要は、どんなに優秀な人材が「世界を変える」と謳ったとしても、既得権益層の壁に阻まれ、結局は潰されるわけです。ゼロサムゲームの土俵には、必ず“ガワ”があり、“ワク”があります。両側が仲良く手を繋いで、均等に“トク”をすることは絶対にないし、ましてや、その“ヨロコビ”にも限りがあります。果たして、10年後、国際政治のキーパーソンの顔ぶれは、どのように変化しているのでしょうか。そして、「富めることを許されなかった側」の意見を発信する人物が、どれだけの影響力を持っているのでしょうか。その時、「持続的な開発目標」は、社会を良くしているのでしょうか。社会全体が利益を享受できているのでしょうか。もっと言ってしまえば、オバマの"Change"は、なにを変えることができたのでしょうか。

土の中をほじくり回さなくても、資源はそこにある

毎度のことながら、枕が長くなりました。今回のメイントピックは、ここにあります。若干、上記とリンクする部分でもあるんですが、我々の金属業界は、有史以来、“開発”を通して、産業の発展に寄与して参りました。ただ、正直なところ、今後の開発環境が“持続的”であるかと問われると、それは否定せざるを得ません。それは、脱炭素というテーゼを掲げた場合、我々の業界は、化石燃料を直接的、間接的に大量消費する前提の生産手法しか持ち合わせていないからです。

資源開発手法にしても、有史以来、連綿と受け継がれてきた「ヤマを掘る」という行為を前提にしています。つまり、「長い間、同じようなやり方でやってきた(変革する必要性が薄かった)」のです。言い換えると、それが王道であり、これまで同業界が被ってきたどんな“進化圧”にも耐えうるほどの盤石な収益構造が、そこに大きく横たわっているということではないでしょうか。

また、これは、筆者の勝手な想像でしかないのですが、「ヤマを掘る」という行為が“山師”というコトバを生んだように、資源採掘には物理的な危険性と財務的なリスクに常に晒されています。その一種の「近づき難さ」が、同業界の特殊性を生み、ブラックボックス化し、リサイクル・資源再生業界にも共通する事象ですが、「あの、なんだか危なそうで、汚い仕事は、アイツらに任せておけばいい」といった思想に結び付いています。あくまでも、筆者の妄言です。

静脈なくして、動脈あらず

そんな、過去と未来を見据えると、我々が直接的に関与する金属再生業は、これまでもこれからも、社会経済を支える基幹産業と言っても過言ではないし、使い古された言い方をすれば、生産活動を身体とみなしたときの“静脈”であります。そして、左記で言及した通り、鉱山開発からリサイクル・資源再生業界まで、現在、大きな変革を余儀なくされています。当業界の人間は、「中国が雑品を買わなくなった」ことを悲観的に捉え、「どうしたら、今までの“汚い”、“雑多”な商品が売れるか」ということで頭がいっぱいです。

しかしながら、“それ”を金属の原料としてみつめ、「どうすれば付加価値をつけて売ることができるのか(=どのようにして、単一の金属にわけるか)」というノウハウを持った人間にとって、昨今の悲観ムードは、まったく逆の意味を持ちます。極論を言ってしまえば、「雑なモノから“雑さ”と“異物”を排除する」ことで、ベースメタル相場に最も近い値段で売れるわけです。そして、その金属品位精度が高まれば高まるほど、競合に対しての優位性も向上します。つまり、競合との価格競争に勝てる可能性が出てくる。さらに言ってしまえば、金属品位精度の向上の先に、グレードを変える(格上げ)ことができるようになれば、付加価値率の大幅な改善に繋がり、もはや同じ土俵で勝負する必要性も無くなるのです。

いわゆる、“ウワモノ”と呼ばれる品質から乖離すればするほど、対ベースメタル相場のスクラップ販売単価の料率は下がります。これは、当然の理(ことわり)なのですが、今現在、足元で起きている“変革”の矛先は、その料率自体にあります。卑近な例でいえば、いわゆる“ピカ(銅)”とか、特号銅線などと呼ばれるウワモノと、それ以外のグレードスクラップの値差は、かつての水準と比較すると、拡大していると聞いています。つまり、最終需要家のスタンスとしては、「高く売りたいんだったら、誰が見てもわかる、良いモンを持ってこいや」ということになります。この辺のハナシは、ひとつふたつ前の投稿で言及しています。そちらをご覧ください。

今回、お伝えしたいことは、ただひとつ。

みちるリソースは、資源開発ディベロッパーとして、身近な潜在資源を金属原料に仕上げることに邁進してゆきたいと思います。これまで、なかなか当方の具体的な事業を発信できずにいましたが、今後、継続的に「これをこうしたら、こうなるんじゃないか」だとか、「これをこうしてみたら、こうなった」的なハナシも積極的に発信してゆくつもりです。巷のスクラップ屋さんのように、大きなカタログをつくって、「これは、いくらで買います!」的な商売はできませんが、「こんなもん、売れるの?」的なご相談ありましたら、なんなりとお申し付けください。「環境がどうのこうの」といったハナシを前提にしながらも、持続性のある商売として成立するよう、最善の提案をします。

HOMEページ内に、お問い合わせフォームをつくりました。こちらに、簡単な連絡先と質問内容を記入いただければと思います。

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