10/27/2019

中国向けスクラップ輸出、溶かせばいいのか

思うところ、たくさんありますが、昨今の中国向け輸出、もちろんスクラップのことですが、至る所で様々な、いわゆる"ポジショントーク"が飛び交っていると思います。業界関係者の皆々様、特に有名な方の発信するSNS情報を拝見するに、正直なところ「やべえ、俺のところに全然情報入ってこねえ」的な焦りのようなものがあり、「あー、でも、なんか言わなきゃな」的な使命感に苛まれているような感じがします。

おれ、東南アジアでインゴットつくるよ!

一部では、「東南アジアでは、中国向けのインゴット製造(非合法)がはじまった!(どや)」みたいな言質を以って、あたかも新たな動きのような説明をされる方がおられますが、いかがなものでしょうか。そもそも、いわゆる合法、非合法問わず、彼の国々ではそのような"錬金術"は、一般的に行われてきたと思います。決して、今に始まったこと、これから主流になる動きではないと思います。そして、日本ではコストの面から採算がとれないのだから、多くの行き場を失ったスクラップが、彼の地へ向かうはずだという考えも、いささか表現が暴力的と言いいますか、短絡的であると思います。

統計を見ればわかることですが、中国は南米やアフリカから粗銅を買っています。もっと言ってしまえば、日本の精錬も同じことをやっている。国は違えど、「ある程度の銅品位が見込めて、銅以外の金属も得られる、安い半製品」に対して、世界の需要家が群がっているのが、今の現状です。「いや、まさか。国内市中からスクラップ買わないのに、なんでわざわざ輸入するのさ!」と言われましても、私は知ったこっちゃないです。

なぜ、このような批判的な態度をとるかというと、「溶かしてドーン!」的な品位の低い「"闇鍋"をやったあとの残り」と、冶金学上の原則に基づいて「砲金粉で…真鍮粉だと亜鉛の…電磁攪拌で成分が…足は何本出す…」などとヤンヤヤンヤ試行錯誤しながらの原料としての製品づくりが一緒くたにされている様子が、なんとも歯痒いからです。

今後の中国向け輸出のあり方を妄想する

はい。こちらに、中国の輸入関税表、銅関連があります。

これまで、いわゆる「銅のスクラップ」は、盲目的に「銅のくず(HS#:7404)」として輸出されていたものと思われます。

少し脱線してしまいますが、中国側での「銅のくず」への理解って、実はこうなんですよね。

  • "Waste electric machines, waste wires, cables, mainly for recovering copper"
  • 「廃電気機械、廃電線、ケーブル、銅の回収を主とする」

要は、"彼ら"の理解の中では「銅のくず」ではなく、「銅を回収するためのくず」であるということです。まあ、どうでもいい話っちゃあ、どうでもいいんですが、今後の方針を占う上で、"解釈"の仕方、され方を理解することって重要だと思うんです。

閑話休題。この関税のテーブルを舐め回してみると、興味深い側面が浮かび上がります。「おらが出荷したコンテナの中身は、セメントカッパーだべさ」と言えば2%の関税がかかり、「あたしのは、銅のマスターアロイなの」と言えば4%。そして、「私どもが供給させていただいたのは、銅精鉱です」と言えば、関税はかかりません。噓も方便、銅における数パーセントの違いは、非常に大きいですからね。極め付けは、"HS#7204.5000.00"です。鉄のスクラップの括りの中に、"Remelting scrap ingots(鋳込スクラップのインゴット)"という区分があるようです。当然、関税はかかりません。仮に、銅を含有するインゴットの関税率に変化があれば、表現を変えて関税逃れを試みる筋も出てくるのではないでしょうか。

今後、仮に6類が完全禁止になり、成分が確かなもの、先方が仰る"原料"しか流通しなくなった場合、なにが起きるのでしょうか。個人的な感覚論で恐縮ですが、筆者が税関の人間で、「手堅く、間違いなく税金を獲得する方法はないか」そのように考える必要に迫られた時、恐らく上司に提案するとしたら、「あのお、やはり、拡大解釈できる表現はやめるべきだと思うんです」などと言うかもしれません。

これまで、なぜに中国へのスクラップ輸出が魅力であったかといえば、"雑"であったからだと思うんです。(単価云々の話は、プレイヤーが増えることで価格競争の原理が働き、買い手の必要以上にそれが上昇したことにあるので、真の魅力ではないはずです。現状をみれば、銅相場が上がれど、スクラップ相場は追随しない。端的に物語っています。)

雑多であることの魅力

我々は、"雑品"、"雑線"、"込中"などと簡単に表現しますが、なにを以って、"雑多なクズ"とするのか、なにが"込み真鍮"なのか、さっぱり判然としません。程度の良いものもあれば、悪いものもある。"雑"とは、つまるところ、それ以下でもなければ、それ以上でもない。単なる"半原料"なわけです。手をかけなければ、なんの"原料"にもならない。手をかける手段がなくなれば、ただの"ゴミ"でしかないのです。

実際に、6類の中でも、"上物"と呼ばれる、素性がある程度確かなものは、存在します。個人的には、その類は特別扱いにすべきであって、輸入禁止の除外アイテムに処されるべきであると考えています。但し、込銅(ISRI基準で言うところの"Birch/Cliff")なんかは、結局なところ"miscellaneous(=雑多である)"が基準の中で認められています。こういった不確定要素、かつての"旨味"は、おそらく排除されるであろうと思いますし、されなくとも厳しい目が向けられることとなり、なんらかの制裁を受けるようなリスクが出た場合においては、買う側も売る側も、当然のごとく躊躇するでしょうし、流通も細くなると思います。

今まで、込銅を高値で買っていた需要家(精錬所)にとっても、銅鉱石・精鉱は安く自国の権益で手に入るし、安い加工費で精錬できる。粗銅、ブリスター、セメント、マット、どんな形状でもいいですが、そういった類のものであれば、世界中から安定的に集荷できる。冷材用途のスクラップも、恐らく自国内での発生であらかた補えるでしょうし、必要があれば、確かなものを妥当な値段で日本から買えばいい。それぐらいにしか、需要家側のインパクトはないと思います。(あくまでも、妄想です。)

10/22/2019

アフリカで花開く一帯一路

鉱山で起こる紛争やらなんやらって、最初に誰が「いっちょ、やってやっか!」って周りを嗾(けしか)けるんでしょうか。いつも疑問に感じてしまいます。

今回もチリで暴動まがいの事態になっている、既に暴動なのか、よくわかりませんが、大変みたいですね。都市伝説信奉者としては、「胡散くせえな」と感じてしまいます。かつては、チリペソと銅相場が相関関係にあって、同国での情勢を探ることが肝要であったのだと思います。しかしながら、現代に至っては、そこまでの影響力はないものだと認識しています。そんな状況下にありながら、相場関係者は「わーい、銅が上がった!」とけしかける。完全にポジショントークですよね。業界の面々は、相場の上げ下げで飯食っているようなものですからね。まったく、こういう仕手筋の方々には、ただただ畏敬の念しか湧きません。


中国、スクラップやめるってよ

そんな中、なかなか興味深い記事を読みました。

タイトルは、「グダグダ相場の中でも、中国は銅に関してはかなり強気だよ!(原題:"China takes the long view on copper despite soft market")」といった風情です。カナダのThe Globe and Mailという媒体ですが、数日間のみフリーアクセスで全文読めました。

特筆すべき点は、下記の通り。

  • Jiangxi Copper(江西銅業)が、Pangaea Investment Management社を通じて、バンクーバー在 First Quantum Minerals社の株式10.8%を得たことを先週報告した
  • 最終的には、その持分が16.6%にまで上昇する可能性もある
  • Kamoa-Kakula銅山プロジェクト(コンゴ共和国)は、バンクーバー在 Ivanhoe Mines社が開発を進めている
  • 同社の株主は、中国の CITIC Metal Group社(26.4%)、Zijin Mining Group社(13.9%)
  • 後者は、Kamoa-Kakulaの39.6%の権益を持っている

はああ〜そこまで強気なら、無理して銅スクラップを買わなくても平気ですよね!ここまで肩入れするということは、何らかの確信がないといけないですよね。5Gインフラにしても、昨今の米中協議の狭間でグズグズしておりますが、結局は必要とされているわけで、いつかはドーンとくるわけでしょう。自動車産業に関しては、まだしばらくPHV車の一般への導入が主体となって、"こなれた"頃合い、庶民の購買意欲がある程度みえた段階で充電ステーションの建設ラッシュ、ドンとEV車といった感じでしょうか。時を経るごとに、産業のコア部に使われる銅の使用量は増えるとされています。今は、「待ちのタイミング」であって、米中でヤンヤヤンヤやりあっているのは、"時間稼ぎ"とでも申しましょうか、"焦らし"なのでしょうか。よくわかりませんが。

カモア-カクラとは

そこで、Kamoa-Kakula銅山プロジェクトについて、少し調べて参りました。といっても、プロジェクトの進捗、状況については、ウェブサイトで公開されております。

場所は、コンゴ共和国のコルウェジという地域の西側だと思います。

カモア地区とカクラ地区、それぞれをひとつのプロジェクトとして取り纏めているようです。

鉱床のサイズは、マンハッタン島より少し大きい程度。実際の採掘は、6メートル高、21トンローダー、60トンダンプ車で運搬。

銅精鉱デリバリーのロジスティック網は、周辺国の港を使って、世界中に。

今後の展望

  • ステージ1(2年): 銅品位グレード 7.1% | ステージ2(以後10年): 銅品位グレード 6.4%, 年間生産量Ave. 29万1千トン
  • 4年目 生産量見込み: 36万トン
  • 初期資本コスト: 1.1 billion USD
  • 平均キャッシュコスト(10年): 1.11USD/lb
  • 銅精鉱の品位: 55%

あと、面白いなあと感じたのは、財務分析に用いた銅相場の標準が、3.1USD/lbだということです。ドルトン換算で、おおよそ6,835USD/MT。仮に、足元の相場が5,840USD/MTであれば、おおよそ1,000USD/MTは上げにならないと、プロジェクト全体の採算が合わない可能性があるということだと思います。枕が長くなりましたが、現在、中国がこのプロジェクトに意気込んで前のめりになるということは、至極当然、今後の相場はそれ以上に上昇するということではないでしょうか。想定採算ラインを日本国内の電気銅建値に換算(ドル円@105仮定)すると、760JPY/kg。現在の水準から、100ポイントほど上を指すわけです。もちろん、想定なので修正も入るかと思いますが、プロジェクト自体は順調に進行している様子なので、供給面での不安というのは少ないかと思います。大国の一帯一路構想の集大成が、数年ののち、花開くことは間違いないと考えております。


10/21/2019

中国、スクラップやめるってよ

今後の世界経済の趨勢を占うべく、様々な"胡散臭い"統計が各所で発表されていますね。

米中貿易協議の先週の「部分合意」によって、世界的な先行き不透明感が緩和されるかどうか投資家は見守っている…報告書は「見通しではリスクが優勢に見える」が、多くの国で最近実施された金融緩和に伴い、「米中貿易摩擦が緩和されたり、英国の欧州連合(EU)からの『合意なき離脱』が回避されたりする場合は特にそうだが、需要が予想以上に押し上げられる可能性もある」と分析した
参考:Bloomberg「IMF19年世界成長3%に下げ、10年ぶり低調-日本20年0.5%に上げ

なにを言いたいのか、よくわかりませんが、要は「突然、上振れする可能性もあるから、お前ら覚悟しとけ!」ということでしょうか。

あわせて、こんな"予測"もあるようです。


参考:Bloomberg "These 20 Countries Will Dominate Global Growth in 2024"

世界経済に占めるGDP成長率の内訳('19と'24比較)ということだと思います。上記の画像は、筆者が勝手にエクセルに落とし込んだものなので、精度は保証できません。

まず、リージョナリズム信奉者としては、「国ごとの成長率予測が意味をなすのか」という点に疑問を感じざるをえません。次に、その他、特筆すべき点は下記の通り。

  • AOEC(その他の経済圏の集合。勝手に略したので、こんな名称はないと思います。)の'24世界経済におけるプレゼンスが高い
  • ロシア、ドイツ、エジプトは、5年後も同程度の影響力を持つ
  • ベトナムは、影響力をなくす

中国が、米国が云々というのは、「まあお互いに、仲良く4%ずつぐらい"クニ"のプレゼンス減らしてみましょう。痛み分けみたいなもんでしょう。その代わり、それぞれの植民地でガッポリ稼いでいきましょうよ」的な既定路線であると考えています。日本は、米国の植民地であって、時代の転換期において特別な"配慮"をいただいて繁栄したクニなので、これから突然再興するとか、ナンバーワンになるとか、そういった楽観的観測は明確にナシだと思います。

個人的には、インドネシアがもう少し健闘するのではないかと考えていましたが、もう少し先、7ヶ年なり10ヶ年での国家建設プランを描いているがゆえに、そこまで焦りはないのであろうし、世界経済の中でのプレゼンスにそもそも興味がないのかもしれません。真っ当な国家運営をしていれば、"マージナブル"な経済を確立できるのは、間違いなく同国であると信じています。帝国の庭としての東南アジアにありながら、インドネシアの発展は内的なドライブ(内需、人口ボーナス、鉱物資源等)が強く、その他のタイやマレーシアのような原油、資本家、観光に依存する国々なんかと比較すると、脆弱性は低いと思います。今回、ベトナムが外れると予想されているのも、結局は中国依存であり、今後の盤石な支持が期待できないとされているからかもしれません。よくわかりませんが。

とにもかくにも、これまで"大きなクニの渦"に巻き込まれるかのごとく、それぞれの小国が大国の思惑に翻弄され、存亡の危機、または繁栄を迎えてきました。それが、経済史上の基本ルールであったと思います。しかしながら、今後はそのような論理が通用しない。相容れないとしながらも、結局は根っこが同じ。「あいつとなんか、絶対付き合わねえからな!」と周囲に嘯きつつも、仲睦まじく一緒に下校する思春期真っ盛りの高校生カップルの可愛いウソのような、純粋かつ高潔なイデオロギーが、地球の奥底には存在するのかもしれません。

ここまで話が飛躍すると、まとめるにも一苦労ですが、やはり個人的には「クニで語る時代は終わった」と申し上げたい。各時代の為政者の妄想の中で生み出された"国境"が、経済の境目でもなければ、経済が収束するポイントでもない。殊に、我々の業界における「リサイクル・イン・チャイナ期」のあとに何が起こったのかを振り返れば明確な事象です。周辺の国々に、中国で蠢いていた利権が移転した。確かに、環境規制だのプラスチックだのと問題は起きますが、それは本来であれば、淘汰されるべきアクが表出した、これまで中国が目を瞑ってきた必要悪であったわけです。それを、あたかも「うわー、やべー」と右往左往することは、非常にナンセンスであって、この流れは何年も前から、中国自身が「この利権、手放すから!内部では、もういい。どっか、他のところでやってくれ」と突き放していた既定路線だったはずです。

巷でよく言われる、「中国ほどの巨大胃袋を持ったクニはない」という定説。確かに、その通りだと思います。しかしながら、過去、中国が消化してきた資源は、現在、どのように処理されているのでしょうか。中国が輸入しなくなったから、我々の生活圏に資源ゴミが山積みになって放置されているのでしょうか。いいえ、そんなことはないと思います。仮に、我が国に残されているとしたら、それは放射性のものか、かつてのものづくり大国が生み出した、リサイクル再生に向かない高品質製品のような類のものだと思います。実際のところは、「中国があー」などと言いながらも、その他の地域に流通していることは間違いない。そうですよね。

一時の騒動が落ち着いたマレーシアなんかでも、いわゆる既得権益層(港湾周辺、役人、既存のリサイクル業者)が潤えば、なんのことなく受け入れしちゃうわけです。タイでも、結局は業界の人に頼み込めば、流通はできている。クニの管理できることなんて、そんなものでしょう。おそらく、中国共産党は、人間の弱さなり、組織の対応力の限界、国体を維持するためのコストなんかに対して、物凄い意識が向いていて、ある程度の見切りを"クニ"につけているのだと妄想しています。それが、江沢民政権から連綿とつづいていた人間臭い商売、商人が利益を独占できる胡散臭い"貿易"から足を洗うことであって、明確な利回り設定から導き出される手堅い"トレーディング"の運用にシフトすることでもあると考えるのです。

今般の「中国、スクラップやめるってよ」報道に対して、個人的には「環境どうのこうのではなく、"スクラップ"じゃ、すぐに現金化できないから、"原料"と言い換えるだけなのになあ」などと思ってしまう。「言葉の綾」と一括りにできましょうが、本意はそこまで浅くないように考えております。


10/17/2019

日本は不寛容社会なのか、中国は結局のところ銅を欲しがっているのか

前回のポストを引きずりますが、ここ数日モヤモヤしていた感情を、前澤社長が端的に表現してくれました。

恐らく、実際にそうなんでしょう。氏が仰る「炎上や変人や普通じゃない人」とは、まさにアウトサイダーであり、社会の周縁で生きる人間たちのことです。モーリー・ロバートソンは、言いました。「個人個人の中で事実よりも“気持ちよさ”が勝ってしまうと、その『事実ではないもの』がいつの間にか既成事実化していく。こうした潮流は“ポスト・ファクトの時代”ともいわれ、アメリカのみならず欧州各国でも極右政党が躍進するためのエンジンとなっています」と。(参考:「モーリー・ロバートソンがトランプの勝因を分析 『一般市民がSNSでデマを検証もなしに拡散できるようになったから』」

かつて、当ブログにおいてISRIの会合の中で、元米国商務省長官が「トランプ政権は、世界経済に大きな"うねり"を造る。世界はリージョナリズムに向かう」と言及したことを報告しました。ワーディングは違えど、実際にトランプ政権は、いわゆる"業界"の掟を塗り替えているわけです。それは、彼の支持母体からの意向であり、「"業界"を動かす業界」の方々による指示であることは間違いないと思います。突然、トンデモ論者のような嘯き加減になってきましたが、これは純然たる"トゥルース"としての真実なのでしょう。トランプさんが塗りたくる"ファクト"としての真実とは相容れない、崇高な定量的な目標が存在するのだと思います。

毎度、枕が長くなってしまい、大変申し訳ございませんが、要は「産業の構造が大転換期にある」ということは間違いないということです。もっと言ってしまえば、社会自身のあり方、行く末も大きな変革の時代にあると言えます。言い換えると、これまでタワワに実る果実の美味しいところを牛耳っていた人間が、それを享受できなくなる可能性があるということではないでしょうか。いわゆる既得権益層とでも表現したらよいのでしょう。さらに言い換えると、社会の周縁で泥水を啜るような思いで、細々と生活をしてきた人間が、アイデア次第でとても大きな存在に躍進することも不可能ではないということではないでしょうか。

あいつに会うまで、俺は認めねえからな

実際に既に決まった路線でありながら、鼻息荒く「あいつに会うまで、俺は認めねえからな!」と、大国のリーダーが言ってしまえば、それもファクト。それを演じるのも、マーケットを揺らして儲けることもファクトなのであります。ドナルド・トランプさんなり、習近平さんは、つまるところ「デ・ファクトの演者」であって、台本を創っているのは別のところにあるようです。

ああだこうだと言いながら、中国は銅を欲しがっているとのことです。特に、高品位の半製品です。下記のデータを見ると、素人目線では「少し前まで高品位の鉱石を集めまくってたんだけど、やっぱコストとかいろんなこと考えると、今のタイミングは、『溶かしてポン』でいきたいんだよね」という思惑を感じざるを得ません。

  • 9月輸入 銅半製品 445,000MT(前月比 10%UP, 前年比 14.6%DOWN)
  • 9月輸入 銅精鉱、部分選鉱済みの鉱石類 1.815 million MT(前月比 12.9%DOWN)
  • 9月 アルミ輸出 前月比6.7%DOWN

"...implying a tighter market as a crackdown on scrap imports boosted demand for other forms of copper."

「スクラップ市場に大きなひずみが生まれたことで、それ以外のかたちをした銅の需要が逼迫することになっているようだ」と申されております。当然のことだと思います。

10/14/2019

多様性を生む、ビジネスを生む

いつものことながら、前回の投稿から日がだいぶ経ってしまいました。毎回、同じような枕で始めているような気がします。如何せん、このような経済が停滞した状況下、ひいては先日の台風19号の残した爪痕の深さからも、前のめりで発信する浮いた話、新規案件の提案など、"出しよう"がありません。我が国、日本。今後、どこへ向かっていくのでしょうか。

ただ、昨日のラグビー日本代表対スコットランド戦、非常に引き込まれるものがありました。昨今の停滞したわが国を、腹の底から鼓舞してくれる、そんな一大イベントでした。近日中に行われる決勝リーグも、当然のことながら、見逃せません。我々の活力の源泉としての選手たちの覇気、パワー。己のために、社会のために奮闘する仲間がいると感じることができることは、素晴らしいことであると思います。そして、そのような生き様をまざまざと見せつけられ、自分になにができるのか、何をしなければならないのか、真面目に自問していかねばならぬとも考える次第です。

非鉄金属原料の世界に多様性はあるか


このようなテーゼに対し、我々はどのように回答できるでしょうか。そもそも、この業界に多様性が必要か、ラグビー日本代表のように、日本という旗印のもとに集まった猛者共と比較すべきか、多様性とは一体なんぞや、というアンチテーゼもあろうかと思いますが、筆者としましては、「多様性は必要である」と強く考えています。なぜかと申せば、政府の環境対策しかり、法整備にせよ、既得権益層ならびに為政者のなかに革新的なアイデア、つまり現状を打開するような施策を明確に打ち出すことができる面々が存在するとは考えられないからです。個人的には、「"多様性"とは、当たり前のことを当たり前だと盲目的に信じない人を受け入れる素地である」と定義しています。
我が国のリサイクル、殊に金属の精錬という観点で振り返ると、当地は大陸からの技術伝承があり、当地で産出される鉱物資源をもとに、大輪の花を咲かせた時期がありました。ざっくりとした知識しか持ち合わせていませんが、"南蛮吹"という銅精錬製法が大阪に伝わった時分には、銅の品質向上だけに留まらず、「銅の精錬は大阪で」といった物流上の大きなうねりもあったと聞きます。現在の状況にも相通ずる部分もあろうかと思いますが、抜本的な構造の転換時期にあったものと考えられます。そんなとき、経済活動を活発化させていたのが、住友グループの祖、住友銅吹所であることは、歴史が物語っています。

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