なにが起きてもいいように、しっかりと対策を講じていきたいものですね。(銅はアゲアゲらしいよ!)

カッパー・マニアの皆様、ご無沙汰しております。「胡散臭いハナシ」にしか飛びつかない、稀代の山師、みちるリソース代表でございます。

なんだかんだ言っても、「銅はアゲアゲ」に

前々回の投稿の中で、「どこぞのアナリストが、『(銅の)価格は1トン当たり1万ドル以上で今年を終えると予想』している」みたいなことを言及しました。その当時、筆者は、そのスタンスを“珍ポジ”であると揶揄しました。

ここにきて、その珍なるポジション・トークを凌駕する、バキバキの仕手筋・トークが発表されました。

シンガポールに本社を置く商社Trafiguraの金属・鉱物部門の共同責任者であるKostas Bintas氏は、銅価格はおそらく2022年3月に達成した1トン10,845ドルのピークを超え、1トン12,000ドルに達する可能性もあると述べています。
Kostas Bintas, co-head of metals and minerals at Trafigura, the Singapore-based trading house, said that copper prices would probably surpass the $10,845 a tonne peak achieved in March 2022 and could even hit $12,000 a tonne.

参照: FINANCIAL TIMES - "Copper price to surge to record high this year, Trafigura forecasts"(『銅価格は今年、過去最高値に急上昇するとトラフィグラが予測』)

トラフィグラといえば、例の“ニッケル詐欺事件”の渦中にあった企業ですね。さらに、僕らの大好きなゴールドマン・サックスは、下記のような予測を立てております。

中国の需要が2月のように好調に推移すれば、今年の第3四半期には世界の銅の在庫が底をつくと予想しています。同行によれば、中国の銅需要は先月、前年比13%増となったそうです。同行は、銅が当面1トン当たり10,500ドルに達し、2025年には15,000ドルに達すると予測しています。
Goldman Sachs expects the world to run out of visible copper inventories by the third quarter of this year if demand in China continues to power ahead as strongly as it did in February. Chinese copper demand was up 13 per cent year on year last month, according to the bank, after activity picked up after the lunar new year, which took place earlier this year than last. It forecasts that copper could hit $10,500 a tonne in the near-term, before reaching $15,000 by 2025.

SNS界隈でも、数多くの鉱業関係者が、「銅はアゲ」から「銅はアゲアゲ」へ語調を変化させている印象を受けますので、業界全体の大綱は、大方定まったものと考えております。

つい先ごろまで、「需要が底堅いのは事実。だけど、しばらくしたら、サプライ・サイドが強くなるから、相場は落ち着いてくるよね」みたいな論調でしたが、昨今の"de-dollarization"(脱・ドル化)の煽りを受け、世界的な鉱山開発の在り方だとか、運営方針の中におけるピボットが、少しずつ、これまでの“想定”とは違った方向へ切り替わっているのかもしれません。

モノスゴイ時代の変化

左記にて言及した“脱・ドル化”に関してですが、この手のハナシは、だいぶ以前から“予見”されていました。当ブログでも、この「基軸通貨としてのドル(=ペトロ・ダラー)は、もうオワコン」的な観点から、定期的に“トンデモ論”を唱えて参りました。

ブログサイト右上の検索窓から、「基軸通貨」と入力・検索ください。これまでの軌跡(迷走)をご覧いただけます。

この当時、「銀行間の決済システムが変わる」ことで、「日本が、西側諸国と東側諸国の金融ハブになる」みたいな妄言を吐いていますが、今回の着目点は、そこではありません。

なんか変だなあと、そんな違和感しか感じないわけです』という記事の中で、筆者は、「こうなってくれたら、おもしろいのに」的な妄想として、下記を意気揚々と挙げています。

  • 新基軸通貨誕生に伴う、非鉄金属スクラップトレーディング界の秩序崩壊からの再生
  • 欧州大手リサイクラーの日本市場進出に伴う、国内企業の統合と淘汰
  • 宇宙における資源開発に伴う、レアメタル並びにプレシャスメタル価格の低迷

当時は、“悪ふざけ”的なトークで終わらせるつもりでした。ですが、この手のハナシは、今となっては、「真面目に対応しないと、あっという間に“置いてけぼり”になってしまう可能性」、究極を言ってしまえば、「『今まで、大丈夫だったんだから、これからも大丈夫』といった牧歌論が、絶対的に通用しない世の中」になる可能性を、十二分に包含しています。

新基軸通貨誕生に伴う、非鉄金属スクラップトレーディング界の秩序崩壊

現状、待ったなしで、「資源大国の現地通貨」で貿易を行うことが希求されております。

アナログ・デジタル問わず、日本は、地政学的な観点からみても、大陸及び“東側資源大国”との貿易は、人民幣(レンミンビー、RMB)の使用を迫られるでしょう。 

仮に、そのような事態に陥った場合、日本では即応できるのか、そういった懸念があります。実際のところ、日本の金融機関は、これまでの「ドル決済システム」で用いられてきた"SWIFT"だけでなく、中国が推し進めている「独自の決済圏」"CIPS"の対応にも、積極姿勢を示しています。(三井住友銀行が、前のめり?)

CIPSは、中国と海外との間の取引に伴う人民元の決済を行うシステムである。直接参加銀行はCIPSの中に決済用の口座を持つ。2022年2月末の時点で直接参加銀行は76行あり、そのうち海外所在の直接参加行は36行である。国内外の間接参加銀行1212行は直接参加銀行に決済口座を保有する。…中国国外の間接参加銀行Aと中国国内の直接参加銀行Cの間の情報伝達はSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)で行われる。直接参加銀行とCIPSの間の情報伝達はCIPSの専用回線で行われる。…SWIFTは多種の通貨について海外の銀行間の情報伝達機能を行い、CIPSは情報伝達機能と口座間の決済機能を持つが送金通貨は人民元に限られる。

参照: 露口洋介の金融から見る中国経済『【22-03】金融制裁とCIPS

大げさな言い方をしてしまえば、大陸及び“東側資源大国”から、「お前ら“レンミンビー”な。今後の決済は。それ以外、受け付けないから!よろしく!」などと言われても、対応自体は可能ということです。

恐らく、東側の一方的な要請として、当該通貨の限定使用に至る可能性は、非常に少ないのではないでしょうか。妄想の域を超えませんが、もし「そのような事態」に陥る場合は、米国を中心とした西側による、「東側経済圏全体に対してのさらなるSWIFT排除(=経済制裁)」をきっかけにして偶発的に起こるものと考えております。

なぜならば、東側が、「主体的かつ積極的に"de-dollarization"(脱・ドル化)をけしかけ、他国にレンミンビーを押し付ける」経済合理性がないように思うからです。ただひたすら、時が流れゆく様を眺めていれば、自ずと「そのように」なるのですから。

むしろ、今般の「de-」は、西側(ジョー)の進めてきた“支配体制”に綻びが発現し、“急場しのぎ”でそれを取り繕うと、あたふたしている間に、新興国連合が、「(ジョーの狼狽する姿を蔑みながら、)あいつ、本当にまだ戦えんの?」と冷笑し、一致団結する隙を与えてしまったことに由来するものであると捉えています。

また、米国では、近日中に、「ドナルドの茶番劇」の公演が予定されていますが、ここにきて、更なる“分断”が生まれる可能性は、「ないことはない」のではないでしょうか。

長くなっちゃったので、つづきはまた今度

例のごとく、前置きが長くなってしまいましたが、「新基軸通貨誕生に伴う、非鉄金属スクラップトレーディング界の秩序崩壊」は、シナリオとして十二分に“ある”と思いますが、現実的には、(東側資源大国向けの)決済手段も確保されていますし、現物の取引ですから、なんとかなるんじゃないでしょうか。(ぽかん。)

素人の思考で恐縮ですが、揉めるとしたら、「ベンチマーク・プライスをどうするのか」といった点でしょうか。ニッケル取引でやらかした、某LMEが、どのようにお考えかわかりませんが、ドルが決済通貨ではなくなった場合、どうなっちゃうんでしょうか。(知らんけど。)

個人的には、一時的な「値決めの問題」が解決すれば、その後は、“新機軸通貨”なり、“デジタル人民幣”が、決済手段のひとつとして、すんなり運用されているような気がしています。

実務的な運用に問題がなければ、新たな枠組みの中で、その環境にいち早く適応した集団が、イニシアチブをとって、先行者利益を獲得してゆくのでしょう。「~秩序崩壊からの再生」の局面においては、“メシウマ案件”が数えきれないくらい転がっているのかもしれません。(おとぎ話かな?)

なにが起きてもいいように、しっかりと対策を講じていきたいものですね。(?)

次回につづきます。少しでも、この記事を「面白い!意味がわからない!ハナシが長すぎる!」と思っていただけましたら、下のバナーをクリックしていただけますと幸いです。

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