時代は、我々の想定以上に変化しますね

先日、地元のスーパーで会計待ちをしていたら、店内に「青果担当の方、2番レジでミカンの検品をお願いします」という放送が鳴り響くわけです。

しばらくして、その八百屋さんが、「お待たせしましたあ」とバタバタと走り込んでくるわけです。そうすると、おもむろにミカンの箱をひっくり返して、丁寧に中身を確認するんですね。

そこまでしないと、ミカンて、売れないの?」とびっくりしてしまいました。弾かれた商品は、そのあと、どのように処理されるんでしょうか。間違いなく、廃棄処分ですよね。

この「ミカン検品サービス」は、いつから始まったのでしょう。そんなの売場でミカンを山積みにして、客側に選ばせればいいはずなんですが、物流上の“慣習”や、出荷側の“都合”、衛生上の問題なんかがあって、実現しないのでしょう。

クボタ、民間向けのリサイクル機械市場に本格参入するってよ

田園風景を颯爽と駆け抜けるトラクター。そのメーカーさんが、環境事業に本腰を入れるそうです。

ニュースイッチ 『クボタが廃棄物処理業に初出資、資源循環事業拡大なるか

クボタは中部電力とともに、廃棄物処理などを手がける市川環境ホールディングス(HD、千葉県市川市)に出資した。環境事業部長を務めるクボタの品部和宏常務執行役員は「将来は廃プラスチックなどを原料にし、製品に活用していく展開も見通さなければならない。ESG投資をきちんとやっている意味合いもある」と出資の狙いを説明する。

株式会社 市川環境ホールディングス さんの「資源循環事業」の概要をみると、下記のようなお仕事をされていることがわかります。

収集運搬

  • 廃棄物の収集運搬
  • 大型ビル・商業施設の塵芥処理業務
  • 市町村の廃棄物処理業務

中間処理(リユース・リサイクル)

  • 高度選別によるマテリアルリサイクル
  • 廃棄物の再商品化、固形燃料化事業
  • 太陽光パネル、オフィス什器のリユース・リサイクル
  • 中間処理及び最終処分

同社、吉川副社長が言及されている、「ビジネスとしてのパフォーマンスを上げるには“全体のループ”を構築する必要がある。ピースとなる機械は持つが、これまで入り口と出口がなかった。我々の機械がどう機能するかブラッシュアップできる」という観点は、昨今のリサイクルからESG戦略を巡る業界における動きの中で、とても象徴的な思想であると、筆者は考えています。

いわゆる"Recycable(資源再生可能)"なゴミをカネにする土壌が、ようやっと整いつつあり、「違う分野で培ったノウハウを、リサイクル事業にも転用(横展開)したい」と、企業は考え始めているわけです。

どこから手を付けていいかわからないから、商圏、物流機能、プロセス機能を掌握して、とりあえず“回してみる”わけですね。

欧州は、意外とリサイクル事業に弱腰なのか

欧州のリサイクル業者の組合組織BIRは、サプライチェーンの寸断を契機として、世界的に「高度な選別技術に対するニーズの高まり」が起こっていることを示唆しています。

BIR News - Global eForum - E-Scrap Committee: WEEE recycling experiences ripple effect of “the fight for raw materials”

「金属価格の上昇と輸入スクラップの品質要求の高まりにより、『多くの人々が非鉄金属用の追加分離装置に投資しています』と、米国のNewell Recycling Equipment社のAlton Scott Newell III氏は指摘しました。BIRのシュレッダー委員会の委員長は、アメリカにおける埋立コストの上昇により、材料の転換を図る傾向が継続すると付け加えた。」

With rising metals prices and increased quality requirements imposed on scrap imports, “we’ve seen a lot of people investing in additional separation equipment for the non-ferrous metals”, observed fellow panelist Alton Scott Newell III of Newell Recycling Equipment in the USA. The Chairman of BIR’s Shredder Committee added that rising landfill costs in America would see a continuation of the trend towards diversion of materials.

以下の文章は、「いかにも、クズ貿易屋の考えそうなポジション・トーク的内容」となっています。

「クレイポー氏によると、中国が数年前にプラスチックスクラップの輸入を禁止して以来、欧米諸国ではより多くのWEEEが発生源で処理され、アジアでも現地で発生するWEEEの現地処理が進んでいるとのことです。しかし、国境を越えた材料の移動に対する規制は、現地でのリサイクルを促進する傾向を助長する一方で、ニューウェル氏は、国境の閉鎖は原料価格を押し下げ、回収を弱体化させる可能性があると警告している。私は、世界市場価格がどこの国でも通用することを望んでいます。」

Since China had closed its doors to plastic scrap imports several years ago, more WEEE was being processed at source in Western countries, and Asia too was developing more local processing of locally-generated WEEE, according to Mr Craipeau. But while restrictions on transboundary movements of materials had helped fuel the trend towards increased local recycling, Mr Newell warned that closing borders had the potential to drive down material prices and undermine collections. “I hope it’s possible that world market prices will prevail for everywhere,” he said.

筆者の憶測の域を出ませんが、きっと腹の底は、「儲かるゴミだけやりたい。面倒なモノは、第三国でやらせればいい」ということでしょう。原料価格にも、「世界的な不均衡が出る」ことを危惧されていますが、そんなことは、その時にならないとわからないわけです。また、様々なリスクをとりながらも、その“価値のギャップ”を狙って、利ザヤを稼ぐのが商売人の務めではないでしょうか。

もっと言ってしまえば、「相場が高いから、採算性が見込める(=相場が下がったら、やれない)」程度の技術なり、商売のやり方であれば、やらない方がいいと思ってしまいます。むしろ、欧州の基本姿勢としては、「生産した側が、消費されたモノに対する関与を強めてゆく(=資源再生も、プロダクト・サイクルの一環として積極的に関与してゆく)という路線だったと認識していますが、現実的には、かなり弱腰なんだろうか。

これほどまでの変化を誰が予想しただろうか

ここのところ、世界的に「都市鉱山資源(権益)の囲い込み」が、これまでにないスピードで進行しているような気がしてなりません。この“ウネリ”が、既存のリサイクル業界(従事者)に対して、どのような作用を持たらすのか見当もつきません。

手前味噌で恐縮ですが、筆者は、2018年5月、『きな臭い感じ』という投稿をしました。その中で、「(リサイクル業界内の淘汰)最後のフェーズにおいては、淘汰という言葉はむしろ存在せず、寡占化に伴う独占といったかたちで戦国の世が完結するのではないか」と言及しました。その当時は、まさか、これほどまでも早いペースで事態が変容するとは、思いもしていませんでした。時代は、我々の想定以上に変化します。

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