ダルマさんは転んだけど、現物を持っているアイツは転ばないよ

さて、大陸政府によるベースメタル在庫の大放出が終わりました。今回も、「戦略物資の流入が、マーケットに大きな影響を与えた」のでしょうか。

アルミニウム

  • 1トン当たり約1万8075元(2797ドル)で落札
  • 上海先物取引所での5日のアルミ先物の清算値を5.3%下回った
  • 払下げ: 200トン強

  • 落札価格は1トン当たり6万7700元
  • 上海先物取引所の8月渡しの銅先物価格を1.6%下回った
  • 払下げ: 140トン強

参照: REUTERS 『中国の非鉄金属備蓄放出、第1回競売は予定より早く全量落札

結果として、「市中相場に対して肉薄せず、プレミアム感はなかった」わけです。つまるところ、需要家側のスタンスとして、「そこまで、“がっつかなくとも”地金は手に入っている」ということではないでしょうか。もしくは、政府側との“摺り合わせ”のなかで、大方の“落としどころ”が決まっていた。“需要”云々のハナシを語るのは、もはや野暮ですが、もしかしたら、左記同様に「そこまで食欲が旺盛でない」ということもあり得ます。

散々、言及してきたことではありますが、大陸政府は、単純に「利益の確定を行った」だけに過ぎません。もしかしたら、「もうそろそろ、“あれ”だから、在庫の整理を」と考え、粛々とポジションを転換しているのかもしれません。よくわかりませんが。確かに、ベースメタル相場の過熱感が表出し、「どげんかせんといかん」のかもしれませんが、相場のトレンドを捻じ曲げることが純粋な目的なのであれば、彼の国は、「国の戦略物資を切り崩して、ちまちまと打ち水をする」以外に、数多の方策を持ち合わせているような気がしてなりません。

もうひとつ気になるのは、「どんな類のどんなグレードの地金が放出されたのか」ということです。例えば、銅に関しては、LMEと上海の電気銅Aグレードでも、実際の規格は“少し”違います。まあ、普通に考えれば、「国際指標なり、自国の最上指標に則った商品のみ」で取引されるはずですが、実際のところは、よくわかりません。ここまでくると、やや常軌を逸した発想ですが、支払いは、現金で行われるのでしょうか。“同等グレード"商品現物とのバーター取引なんかだったら、事態はややこしくなります。まあ、そんなことはないと思いますが…。

もし、そんな“クレイジーなやり方”が許されるのであれば、世界中のあらゆる企業経営者が、こぞって当該方式を真似てしまいます。というか、そういった“やり口”が公然と通っていたからこそ、同地では、「担保に銅地金」が持て囃されていたのではないでしょうか。筆者の抱える、重篤な妄想癖は治りませんね。恐ろしいものです。

クーポン券には有効期限がありますので

コモディティ関連とは、若干毛色が違いますが、産金株というジャンルがありますよね。日本国内でいうと、住友金属鉱山: 5713 が挙げられます。過去の投稿でも言及しましたが、米国内だとネバダ州にある産金会社も熱いです。色んな意味で。銅の採掘、今後の金属リサイクルのフローを抜本的に変え得るポテンシャルのある、素晴らしい会社だと思います。

リンク: みちるリソースのご意見番が吠える 『米国における戦略物資としてのベースメタル、レアメタル

先日、大陸の紫金鉱業が、とあるニュースサイトに取り上げられていました。なんでも、「利益がこれまでの何倍にもなっている“らしい”」という触れ込みでした。まあ、残念なことに、詳細データが確認できないために、これ以上深く掘り下げることはしませんが、「めちゃくちゃ儲かっている」ということは、ほぼほぼ間違いない事実のようです。

そういえば、「仮想通貨を貴金属の現物に置き換える動き」は、ずいぶんと“流行っている”ようです。筆者は、“クリプト関連”のハナシに関して一切の知識がないということを前置きとしますが、クリプトって、結局のところ、「なんか、大層な“資産ヅラ”しているけど、実際のところは、胡散臭いただの“クーポン券”に過ぎないんじゃないか」と思うのです。

リンク: みちるリソースのご意見番が吠える 『血なまぐさい様相を呈してまいりましたが、"カネ"より"ゲンブツ"を抱えていきたいですね

喫茶店の“コーヒー・チケット”を想像していただければ、いちばんわかりやすいかと思います。(相場の変動に関する概念は、きれいさっぱり忘れてください。)当該クーポン券の良さは、消費者側としては、「10杯の値段で11杯飲める」ということです。サービスの提供側としては、「利益率は下がるけど、前もって10杯分の代金を徴収でき、1顧客の11回分の来店を見込める」ということです。

そして、両社の間に横たわる「どうでもいいこと」を挙げるとすれば、「誰が利用できるのか/したのか」ということです。ここで求められるのは、「その“クーポン券”を持っているか否か」であって、「それを、どこの誰がいくらで買ったのか」という事実は一切関係ありません。クリプトの場合、「過去の取引を遡って確認できるから云々」というハナシがありますが、「“どこの誰”なのかわかならなければ、その取引の実体性を説明する力は、だいぶ薄くなってしまう」ような気がします。

オオカミが来たぞ!

コーヒー・チケットでいうところの“ミシン目”のようなものでしょうか。有効期限の書かれたお店発行の台紙に、切り取り線で緩く繋がれているから、このクーポン券は「本物に違いない」的な発想です。わかりづらい喩で恐縮ですが、「『ペラペラの紙に、スタンプと切り取り線でお金の代わりになる』ってとても不思議だよね」ということを言いたいのです。あれ?

もはや、なにを言いたいのかも、さっぱりわからなくなってしまいましたね。おそらく、「世界的な社会構造の変革のうしろで、ものすごい壮大な錬金術が編み出され、想像を絶するスケールで実際の取引が行われているんじゃないか」ということを言いたかったのだと思います。そして、「素人がそのからくりの一端に気付いた時、美味しいところは、“オトナ(オカミ)”が全部呑み込んでしまっているよね」ということも付け加えたいのだと思います。

昨今、リサイクル貿易界隈では、「受け入れない(輸入するときに難がある)問題」から「出せない(輸出するときに難がある)問題」に発展していると聞きます。激動の時代です。いかようにも転ぶことのできる柔軟性を身につけてゆきたいものです。

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