スクラップの"旨味"ってなんだろうと考えながら、今後の市場動向について考察

ここのところ、色んな過去のリサイクルに関わる文献を読み漁っています。そして、各国の規制なんかも合わせて研究しています。読み進めて行くにつれ、「"この"世界的な動きは、ますます深化してゆくのだ」ということに気づかされます。"どの"動きなのかというと、端的に申せば「効率よく資源開発するための技術革新」です。これは、カミガミの意向であります。彼らは、「目を瞑っていてもカネを生んでくれるヤマ、どっかになーい?」と、常に投資先を求めています。突っ込むカネなら、いくらでも抱えている。

倫理的なハナシもいいけど、もっと実利的に

筆者は、これまで散々申し上げてきたことですが、昨今の中国による、スクラップ輸入に対する規制というものは、一国の環境問題への対応云々といった低次元のハナシではないと考えております。「海外で発生したゴミは、中国ではなく、その発生国で処理すべきだ」という視点があるがゆえに、「環境を汚染する可能性のある"ゴミ"は、断固として大陸に持ち込ませない」という論法は、世界に流布しました。しかしながら、国家としては、実利的な側面から鑑みるに、"スクラップ"が生み出す絶大なる"旨味"を前に、"それ"を使わない手はない。使いたい。

大陸は、国内外の"環境宗の信徒"たちの目をどのようにかいくぐり、"体裁良く"、スクラップを集めることができるのかということを考えるわけです。ここで、例の"イリュージョン"が開発されます。"それ"は世界に向けて、こう高らかに宣言されました。「(半ば感傷的に)もう、ゴミを押しつけるのはやめにしないか。代わりに"再生原料"なら、受け入れてあげるから」と。まさに、「言葉の綾」であります。

美味しいのはいいけど、汚いのは"はんぶんこ"

これまで、散々"美味しいところ"を、率先して独占してきた国が、「うちは、そんな"汚いこと"、もうやらないから」と嘯き、「まあ、妥協策として、"きれいなモノ"だったら…」と含みを持たせる。フタを開けてみれば、その"汚いこと"は、国の外で、自国の人間が、今まで通りのやり方でトンチンやっているわけです。パリ協定批准国としては、世界に向けて、「環境問題は、ひとつの国が背負うべきではなく、生産国、消費国、それぞれが一丸となって協力していかないと解決できないのだ」というメッセージを記憶させたいわけです。

環境問題における"先進国"でなければ、「当該(環境)問題を"問題"たらしめる首根っこの部分をコントロールできない」ということを、彼らは十二分に理解しているのです。だからこそ、ありとあらゆる"問題"に対して、真摯に対応しているという"姿勢"を前面に押し出し、自分たちのやりやすいやり方を押しつける。今般の"新規制"にしても、結局は、EUが2013年に発行した「何を以て、銅のスクラップも廃棄物(waste)ではなく、原料(feedstock)とみなすのか」といった基準に即したモノを焼き直したモノに過ぎません。

参照: "COMMISSION REGULATION (EU) No 715/2013 of 25 July 2013"

欧州委員会の共同研究センターの報告書によると、非鉄金属産業の原料となる銅スクラップには市場があり、需要があることが示されています。そのため、銅スクラップは十分な純度を持ち、非鉄金属製造業が要求する基準や仕様を満たすものでなければならない。
銅スクラップが廃棄物でなくなる時期を判断する基準は、回収作業から得られる銅スクラップが非鉄金属産業の技術的要求を満たし、製品に適用 される既存の法律や基準を満たし、全体的に環境や人の健康に悪影響を与えないようにしなければなりません。欧州委員会の共同研究センターの報告書によると、回収作業の投入物として使用される廃棄物、処理プロセスや技術、 回収作業から得られる銅スクラップについての基準は、有害な特性を持たず、銅以外の金属や非金属化合物を十分に含まない 銅スクラップを生成することができるため、これらの目的を満たすものであることが示されています。

参考: Deep L翻訳

お互いに商売なんだから、"線引き"はしっかりやっておこうよ

欧州のリサイクル業団体であるBIRは、ウェブサイト上の記事"China progresses with quality standards for mechanically recycled secondary raw materials"の中で、このように述べています。

BIR は、ISO と IEC の中国国内委員会である中国標準化局(SAC)が、 PE、PP、混合ポリオレフィン、ABS、PS、PC、PA、PET、PBT、PVC、PMMA を含む「プラスチック-リサイクルプラスチック」の一連の GB/T 規格を起草していることを知りました。
最後に、BIR は中国標準化局(SAC)が鉄と鋼、つまり機械的にリサイクルされた鉄と鋼の二次原料に関する GB/T 規格を起草していることを知りました。
これらの中国規格は、二次原材料の非常に高い品質基準を設定しています。それらには、未処理の「廃棄物およびスクラップ」と「機械的にリサイクルされた」二次原料を区別するという同じ究極の目的があります。鉄鋼、アルミニウム及びアルミニウム合金(理事会規則(EU)第333号/2011)、銅(欧州委員会規則(EU)第715号/2013)、ガラスカレット(欧州委員会規則(EU)第1179号/2012)に関する欧州規則と同じ究極の目的を持っています。

参考: Deep L翻訳

要は、「リサイクルに対する思想は、中国と欧州で一致しており、"それ"の実現に向けて協働しているよ」ということである。そして、今後、非鉄金属以外のスクラップに関しても、同様の規制を敷き、「まあ、"原料"であれば、買ってやるよ」というスタンスを拡大させてゆくということではなかろうか。もっと言ってしまえば、この巨大経済圏は、「ISRI規格?そんなモノは、ミソくらえだ」とでも言いたげなぐらい、強固な一枚岩ができあがっていることをアピールしているようにも思わせる。益々、米国は孤立する。

かつて、『中国向け金属“原料”貿易は、もはやものづくり』というポストの中でも言及しましたが、時代はQAなんです。品質を誰が、どのように担保/遵守するのか、させるのか。品質が確かであればあるほど、コモディティとしての流動性が向上します。その代わり、「それはそのくらいの価値である」と明確になればなるほど、化けません。その「化かす(イリュージョン)能力の有無」が、"スクラップ"を取引する上での"旨味"に直結していたものと理解しています。ただ、これからの"原料"取引の世界では、"それ"がそれほど化けないのです。画一的な規制適用とクォータ制度の撤廃によって、確かに「(規格さえ遵守できれば)誰でもやれる」ようになるのでしょうが、「(利益の薄さと規格の厳しさが見えていたとしても、)みんな、こぞって競争するか」というと、首を傾げてしまいます。

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