まあ、うちは、○○さんの買値にあわせて仕入れするから

本来、やらなければならないことから逃げています。本日は、完全なる曇天。日に日に寒さが増します。そんな下がる士気とは裏腹に、銅相場は"パキッ"と仕事をしてくれています。よくわかんない山勘ですけど、COMEX@3.1のライン超えは、しばらく続いてくれるんじゃないですかねえ。相場関連のニュースをみていると、「供給不安ガー」だの「中国の需要ガー」という論調で各社足並みを揃えています。

こういった情報をつぶさにチェックされている関係者の皆様におかれましては、当然の理解であるかと思いますが、「その供給なり、需要を"創出"しているのは、どこの資本なのか」ということです。まあ、どこの誰かということまでは、わかりませんが、要は「実態の把握は不可能に近いし、おおよそ相場なんぞ、つくられたものだ」ということではないでしょうか。我々は、"ポスト・トゥルース"の時代に生きております。本当に大切なのは、「情報の真贋を見極める」ということだと考えています。「大きな会社の人が言っていることが、すべて正しい」で済まされる時代は終わったのです。

昨今、非鉄金属スクラップ業界で話題になっている、中国の金属"原料"に対する規制の件ですが、巷では「おーい、みんな!やべえゾ。11月から新制度が始動するらしい!急いで臨戦態勢に入れ!」みたいな大手発信のポジション砲に躍らされた、陳腐な情報が跋扈(ばっこ)しています。そして、その"大手情報"に翻弄される方々は、なんの根拠もナシに「いよいよか」と固唾をのんで情勢を伺っています。一方で、"大手勢"とは一歩ぐらい後ろで様子を伺う関係者一般に至っては、「まあ、うちは、○○金属さんの買値にあわせて仕入れするから」と、そこまで焦りはないように見聞きしています。

誰がいちばん困っているのか

今現在、今般の新規制適用に伴って、戦戦恐恐とされているのは、恐らく現物のポジションを大量に抱えている業者ですよね。かつての雑品(旧7類)が輸出できなくなり、これまで抱えていた在庫のヤマの消化に難儀され、その後、大きな商圏(利権)を失い、値の張る"コモディティ商売"に鞍替えされた方々です。悩みの中心は、特に"miscellaneous(雑多な)"な要素が強い商材ではないでしょうか。例えば、異物・異材付きの真鍮屑(コミチュウ)やら、銅屑(コミドウ)です。

筆者の"勝手な"視座は、このようであります。

「新制度スタートが思ったより早い」というのは詭弁

なぜならば、「中国は4月に、輸入要件を満たしていない固形廃棄物の返還と処分について、運送業者と輸入業者に責任を負わせる法律を9月から施行することを可決した」はずだし、「ドイツのコンテナ船会社ハパグ・ロイド(HLAG.DE)は、新法を遵守するため、9月1日以降に到着する中国向けの金属スクラップを含む固形廃棄物の貨物の受け入れを停止すると顧客に通知したと発表した」という事実があるからです。その"情報"は、6月22日にロイターからもたらされました。当時の筆者の思いは、『中国に"廃棄物"を送るのやめるってよ(罰則つき)』に綴りました。

中国は、前広に今般の新規制適用の準備を進めていたということです。そして、なぜに船社は「9月に中国に着くコンテナ」を対象にしたのかと言えば、「一ヶ月ぐらい平気で、コンテナが引き取られない」ことがざらにあり、そこから「空コンテナの返却を待ったり、修繕なんかしていると、二ヶ月ぐらいあっという間」という感性のもとで、11月スタートから逆算した結果だったのではないか、などと事情通のような風情で佇んでみます。

「どんなものだったら"原料"として認められるか、やってみないとわからない」というのは詭弁

なぜならば、「年明けの"大綱"発表時に、基準は明確にされている」からです。手前のデータ上、少なくとも本年の1月23日に確認できた情報には、「"銅線"屑は"RCu-1"として分類し、仕様如何いによってAないし、B、Cとして扱う」とされています。同様に、"銅加工材"屑、"銅米(ナゲット)"屑に関しても、同様の分類方法の下、基準が謳われています。(現行の"大綱"に、それが記載されているのかということは、知る術がないので、わかりません。)

この"大綱"についての思いは、『世界のあちこちで、ポジショントーク砲が炸裂しています』というポストで言及していますので、こちらもあわせてご覧ください。世界情勢ならびに相場動向は、確かに流動的です。ただ、マクロ視点で俯瞰した際、非常に、非情に「既定路線をひた走っている」という事実があります。

感性相場、官製相場、完成相場

少し前の中国における主要精錬所の年間契約上のTC/RCは、損益分岐点を割る水準まで引き下げられていました。そして、銅精鉱の輸入量に関しては、前年同期比10%増でした。採算割れしているのに、なぜそこまでして、必至に鉱石を買い集めるのかといえば、それはもう、"miscellaneous(雑多な)"要素が多分に含まれているからではないでしょうか。ただの石ころだとみなす人もいれば、単なる銅の鉱石だと思う人もいるわけです。人によっては、副産物としての"その他有価物"に期待を寄せます。そして、最終的に、安価で仕入れた"冷材(スクラップ原料)"で、成分を調整して、財務上の帳尻を合わせる。

まったく、よくできたハナシです。本日も、みちるリソースのご意見番の勝手な「あしたの日記」にお付き合いいただき、ありがとうございます。「毎度、ハナシが長いな!」とお思いの方は、下記のブログ村の画像をクリックしてください。次からのモチベーションになりますので、もっと濃く、長いポストを投下します。

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