大手の淘汰と、超大手の帝国化

ロシアのゴタゴタは、米国のガタガタであり、中国のソワソワであるとも思いますが、いかがでしょうか。そして、舞台袖でいい意味でゾクゾクしているのが、インドでしょうか。日本語のオノマトペは、奥深いですね。

稀代の相場師

前回のポスト『ロシア情勢絡みでパラジウムのことも気になるけど、アメリカの資源政策も気になる【銅】』で言及した、IVANHOE創業者のフリードランド氏、ポジション砲を各所で炸裂させています。

氏のビジョンには、銅相場15,000ドルが見えているようです。この水準は、ゴールドマンサックスが、以前提示していた予想値と合致します。同社は、2025年をターゲットとしているようです。しかしながら、「あと二年で」そのような相場形成がなされるのでしょうか。

フリードランド氏は、件のインタビューの中で、「ドルで価値を測るべきではない」といった表現をしています。また、比喩として、「銅のレンガで家でも建てておけ!」みたいなことも言っています。それが果たして、どのような意味を持つのか、皆目見当もつきません。仮に、「ドルで価値を測る」ことができなくなった場合、また、なにかもう一つの価値判断を決定する“基準”が必要となります。

それが、特定の金属を頂点とした固定相場制に帰結するのか、それとも、代替通貨が現れ、覇権を握っていくのか。もしくは、原点回帰として、物々交換の世に戻るのか。

筆者は、通貨・為替のことは、さっぱりわかりませんので、ひとつもコメントできませんが、ここのところ、よく Twitter 上では、「中央銀行デジタル通貨 (CBDC)」が話題に上っている印象を受けます。来年には、日本でも新紙幣導入が決まっていますので、陰謀論的には、抜本的なシステム改変を行うには、絶好のチャンスではあるのかもしれません。

いつものアレ

本日は、あまり良いネタが揚がってないので、「困ったときのBIR(欧州リサイクル組合)が発信しているニュース分析」をやってみようと思います。

参照: BIR - "BIR Amsterdam Convention - International Environment Council: The recycling industry “needs to be part of the discussion” about critical raw materials"

例のごとく、「クリティカル・ロー・マテリアル(重要原材料)」に関しての言及になります。事の顛末としては、「アムステルダムで開催されたBIRコンベンションにて、ISRI(米国リサイクル組合)のトップが講演し、米国のリサイクラー界隈の現状を嘆いた」という理解でおります。

(ISRIウィーナー会長曰く、)米国は、米国地質調査所のリストにある50種類の重要鉱物のうち43種類を、消費量の50%以上輸入している。アルミニウム、ニッケル、亜鉛はすでにこのリストに掲載されており、銅の生産者は銅を含めるよう請願している。さらに米国は、リストアップされた鉱物のうち少なくとも14種類を国内で生産していない

はい、間違いございません。「銅を、重要原材料に加えるべきだ」と申しております。リサイクラー側からも、こういったロビー活動が行われているということは、何度も言及してきましたが、鉱山関係者だけでなく、静脈側も、この流れを欲しているということになります。では、なぜそこまで躍起になるのか。

要は、「今まで日陰にいた我々が、ようやっと表舞台に立てる時がきた!だけれど、大きいことをやるには、どうしても投資が必要になる。現に、末端の業者は、苦境に立たされている。我々には、『ファイナンス制度が必要なんです』」と言いたいのだと思います。これが、欧州で言うところの“グリーンディール産業計画”の神髄です。米国にしても同じ。画策されているリセッション以後の産業政策としては、「グリーンな社会をつくるための公共投資」が必要になるのでしょう。

組合トップの方々は、多くの組合員のために、組合員を代表して、「良い環境をつくるために」政策提言をしているかのように振舞いますが、実際に、政府からの補助金ありきで産業構造の改革を行ったところで利するのは、オカミに最も近い“大手”です。これまで、欧州・北米地域は、大手の寡占化がある程度進んだ地域であると認識していますが、場合によっては、今後、「大手の淘汰と、超大手の帝国化」が始まるのかもしれません。いや、既に始まっているのかもしれません。

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