メタル界のスーパー錬金術師の周辺がきな臭い感じ

今回は、メタル界のスーパー錬金術師こと、Sanjeev Guptaさんに再注目してみたいと思います。

この方については、丁度昨年の5月はじめ、筆者が note に記事を認(したた)めさせていただきました。

参照: 山師の根性 || Powered by Michiru Resources
ベースメタル相場高騰の裏で、なんか面白いことが起きているよ

Guptaのなにがヤバいのか

事の顛末は、下記の通りです。

  • インド生まれ、英国で教育を受けたお坊ちゃまが、コモディティ商社をつくったよ
  • 彼は、鉄鋼業界の再編に心血を注ぎ、「鉄鋼の救世主」と呼ばれるまでに認知されるようになったよ
  • 今や、彼の会社は、再生可能エネルギーから商品取引、製鉄所まで幅広く事業を展開し、世界30カ国で約35,000人を雇用するまでに至るんだよ
  • だけど、彼が支配する GFGアライアンス は、これまで一度も連結決算を公表していないんだ
  • そんなことを続けていたら、英国政府の独立機関である、重大不正調査局 (SFO) にマークされるようになってしまうよ
  • そして、2021年5月、主要資金提供元である、グリーンシル・キャピタルが破綻しちゃうんだ
  • それを契機に、SFOによる捜査がはじまったってわけ
  • どんな罪状で捜査が行われているかというと、そう。みんなが大好きな「マネー・ロンダリングと、詐欺、詐欺的取引」だよ

参照: Evening Standard "Who is Sanjeev Gupta and why have his firm’s offices been visited?"

どれぐらいの確証があっての弾劾なのか

英国だけでなく、フランス当局も当該事件に関して、非常に強い興味を示しているようでして。参照記事によると、下記の事実が検証されているようです。

グプタの別の会社が関与する別の事件の裁判資料によると、フランス政府はGFGアライアンスがルーマニアの製鉄所から資金を「横領」したと信じる根拠があるという。

参照: The Guardian "Serious Fraud Office requests documents at Gupta-linked firms"

また、これまで、「英国の国会議員が、サンジーフ・グプタ氏が率いるGFGアライアンスについて、異常な資金調達や会社組織、一連の会計上の『赤フラグ』など、一連の懸念を表明している」ようですので、事の全容が明らかにされるのも、時間の問題のようです。

なにをしたら、そんな大事(おおごと)になるのか

当局が着目している資金洗浄の手段は、下記の通りです。

GFGは、グリーンシルが提供するサプライチェーンファイナンスと呼ばれるサービスを利用していた。つまり、GFGが他社に製品を販売した場合、その請求書をグリーンシルに送れば、顧客からの支払いを数カ月も待つことなく、すぐに支払いを受けられるというものだ。

参照: BBC News Online "Sanjeev Gupta's Liberty Steel offices targeted in fraud investigation"

この“スキーム”を一言で言い表すとすれば、なんだろう。おそらく、「請求書買取サービス」ではないでしょうか。いわゆる、ファクタリングのような金融メソッドです。

真実は、操作によって明らかとなるかと思いますが、おそらく、こういったオーソドックスなファイナンス手法に、実体性が裏付けできなかったのでしょう。“ありもしない商売”を捏造し、キャッシュを生み出し、その資金を元手に、さらに“ありもしない商売”を生み出す…そんなやり方が、「イケなかった」んだと思います。

でも、なぜ、「鉄鋼の救世主」とまで持ち上げられた実業界の雄が、こんなちっぽけな“錬金術”(金額でみれば、スケールは大きいのだろうが)で弾劾されているのか。なぜ、「今になって」耳目を集めるのか。本当に、グプタ氏本人、グプタ・ファミリー単独で行われたオペレーションなのか。

結局のところ、いろんな理由で潰せない

妄想の域を超えませんが、おそらく、要所要所で政治的な“配慮”があったのではないか、そのように筆者は考えています。グリーンシル破綻の際には、「同社が、英国政界の要人と癒着(配慮)があった云々」といった報道もなされていました。

我々、日本人としては、グリーンシルが、日本のソフトバンクと、“ずぶずぶ”な関係にあったことを忘れてはなりません。グプタ帝国は、曲がりなりにも、工場を持って、従業員を養って、政治家との有効な関係を築いていたわけですから、今すぐに潰されることもないでしょう。

ただ、英国にしろフランスにせよ、なんらかの思惑があって始めた“糾弾”でしょうから、なんらかの成果というか、落としどころが必要となります。経営者の首を取ることでは、なんの解決にもなりません。やはり、金銭的な制裁をもって、幕引きとするのでしょうか。

もしかすると、「カネだけじゃダメだ」という話になるかもしれない。誰かが“生け贄”として、祭壇に捧げられなければならない、そんな事態に発展するかもしれません。悲観的に考えれば、いくらでも後ろ向きに考えられますが、昨今の金属相場の停滞具合、世界的な不況を鑑みると、我々の身近で不測の事態が起こっても、なんら不思議ではありません。

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