韓国、タングステンの鉱山を復活させるんだってよ

世界がきな臭い方向へ向かうにつれ、興味深いニュースがちらほら出てくるようになりました。

いや、そもそも、面白い情報は、いっぱいあったのでしょうが、「ヒト・モノ・カネ」の流れが一時的に寸断されたことで、“それ”の量や質、「掴み方」が変わったのでしょう。メディアの垂れ流す、プロパガンダ各種の情報量の多さにも原因があります。

大事なことは会って話そうよ

話は、少し脱線しますが、米国ISRI(リサイクル業界団体)のコンベンションに足を運んだ際、いかに“業界団体”に所属する人間たちが、「直接会って話すこと」に重きを置いているか、ということを実感しました。

つまり、情報化社会、「インターネットでなんでも手に入れられる時代」などと言っても、本当に核心に近い情報は、「直接会って話す」以外に調達する術はないのです。彼ら“業界団体”の面々は、対外的に発信したいこと、“身内”で囲っておかなければならない情報、それらを明確に分別します。

基調講演で、スピーカーが「開かれた貿易システムの重要性」を説く一方で、貿易の部会では、コソコソとなにやら秘密の会合が行われている…たとえ話ですが、そんな感じです。そういった“排他性”を、素人にも理解させてしまうのですから、“業界団体”に所属することで得られる価値は、相当に大きいのでしょう。

中国にレアメタル依存するのやめます

閑話休題。今回のネタは、「韓国、タングステンの鉱山を復活させるんだってよ」です。

参照: REUTERS "Kicking the China habit: South Korea hunts tungsten treasure"

ソウルの南東180kmにある Sangdong の鉱山は、電話やチップから電気自動車やミサイルに至るまで、デジタル時代に新たな価値を見出したレアメタルを採取するために死から蘇ったのだ。

30年以上、採掘活動は停止されていたようですが、下記の理由で、再開発される運びとなったようです。

中国が多くの資源の採掘、加工、精錬を支配しているため、多くの国が鉱物資源の確保を国家安全保障の問題として捉えています。

日本でも、盛んにこういった議論がなされるようになりましたが、具体的な政策は、筆者の知る限り、明確に打ち出されていないように思います。韓国では、地政学上のリスクや、“西側諸国”の思惑のもとで、こういった具体的なアクション・プランを策定した模様です。記事内に、面白い表現がありましたので、以下で紹介します。

コンサルタント会社ウッド・マッケンジーの金属・鉱業担当上級副社長ジュリアン・ケトル氏曰く、「重要なマテリアルを売りにするレストランがあるとします。中国は、悠々とデザートを満喫しているんです。一方で、他の国は、タクシーでメニューを読んでいるんですね」と表現しています。

ウィズBなのか、プランBなのか

韓国の皮算用では、「世界需要の10%を、この鉱山から賄う」とのこと。これは、非常に大きな風呂敷であり、ある程度、実現可能性のある堅いプロジェクトなのでしょう。

特に、サムスン電子など大手チップメーカーの本拠地である韓国にとっては、利害が一致する。韓国は国民一人当たりのタングステン消費量が世界一で、その比類なき強度と耐熱性で珍重されるこの金属の輸入の95%を中国に依存しています。
ロンドンに拠点を置く商品アナリスト、CRUグループによると、中国は世界のタングステン供給の80%以上を支配している。
かつて3万人が住んでいた賑やかな町が、今ではわずか1,000人しか住んでいない上洞の鉱山は、世界最大級のタングステン鉱床を持ち、来年には世界の供給量の10%を生産できるだろうと、鉱山の所有者は言っている。

同鉱山は、「日本統治時代の1916年に発見され、1960年代には、韓国経済の輸出収入の70%をタングステン輸出が占め、金属切削工具に多く使用されるなど、韓国経済の屋台骨を支えた存在だった」そうな。

1994年に、中国から流入する安価な鉱石に太刀打ちできず、閉山が決まったそうです。同鉱山の経営者は、今後、ますます進展するであろう資源ナショナリズムの台頭に賭け、採掘活動の再開を決定したとか。

実際には、そういった「山師の勘」だけでなく、“西側諸国”からの強いラブコールがあり、再開にめどがたった模様です。

アルモンティ社は、米軍にタングステンを供給しているペンシルバニア州のグローバル・タングステン&パウダーズ社にタングステンを販売する15年契約を締結した。同社は、砲弾の先端、ロケット、衛星アンテナなどさまざまな用途でタングステンを使用している。
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