それ、本当にサスティナブルなのかな

前回の投稿から、もう、かれこれ3ヶ月ほど。時が経つのは、まさに、「光陰矢の如し」です。

下記画像は、2016年にポーランドを訪れた際に、グダニスク空港で筆者が撮影したアート作品です。開放的な空間に、巨大な作品。写真では、うまく伝わらないかと思いますが、空港の大きな壁一面をこの作品が占領しています。

ポーランドには、KGHMという銅を中心とした金属精錬会社があります。正式名称、"KGHM Polska Miedz SA"。ロイターは、企業概要を下記のようにまとめています。

KGHM Polska Miedz SA はポーランドに拠点を置き、銅鉱石の採掘、銅の生産、貴金属やその他の非鉄金属の生産を行っている。また、塩の生産と軽金属の鋳造も行っている。地質学的、探査的な活動や廃棄物管理も扱っている。KGHM Polska Miedz SAは、本社と、鉱山、製錬所、精鉱部門、尾鉱部門、鉱山・製錬所緊急救援部門、データセンター部門からなる複数の部門からなる組織構造を持っています。製品は国内で販売されるほか、ドイツ、イギリス、フランス、中国、チェコなどに輸出されています。また、100%子会社であるBipromet SAを通じて、建設・エンジニアリング業にも携わっています。当社は、直接および間接の子会社ならびに関連会社を運営しています。

昨年の10月、住友金属鉱山が、チリのシエラゴルダ銅鉱山の権益を、豪州企業に譲渡しましたが、そのときの共同開発先として、KGHMは認知されています。

参照: 『チリ国シエラゴルダ銅鉱山の譲渡に伴う特定子会社等の異動に関するお知らせ

カッコイイこと言ってるけど、それ、単なる“リブランディング”な

最近の動向(やや古いニュースですが)を追うと、米国の企業とタッグを組んで、小型モジュール炉(SMR)を導入したり、フランスの企業と洋上発電に係る契約を結んだりしています。

参照: 原子力産業新聞 『米ニュースケール社、SMRの建設でポーランドの銅採掘企業らと覚書

表面上は、過度な石炭依存からの脱却ですが、実質的にはロシア依存からの脱却です。そして、もう一つの要素として、「カーボン・ニュートラルという大義名分」のもとで、製品製造に係るプレミアムを上げる(値上げ)という思想も根底にあります。

このKGHMに限らず、世界中の素材メーカーが、血眼になって開発を急ぐ、「グリーンなんちゃら」は、実際のところ、温暖化を抑制するため、社会のための製品ではありません。なんと表現しようとも、「企業の収益性を確保するための製品」であることに間違いはありません。

オーストリアの Montanwerke Brixlegg AG 社は、リサイクル原料と水力発電を100%活用することで、製品トン当たりのCO2排出量を、0.739トンに抑制することに成功したそうです。(一般的には、4.1トンほど排出されているとのこと。)

参照: "Austria’s Brixlegg launches low-carbon copper, seeks premium"

参照記事の中で、同社の役員は、高らかに宣言します。

"We want to achieve higher premiums because we are setting a global benchmark. We are already where the others want to be in 10 or 15 years."

つまるところ、彼らは、「他の会社が真似できないような、やばいモノづくりをやってるんですよ。だから、少しぐらい高くても買ってくれるよね」と言いたいようです。CO2の排出量を少しでも減らしたいメーカーさんは、喜んで使ってくれるでしょうが、その“環境対策”に係るコストは、最終的な製品価格にオンです。長い目で見たときに、こういった「意識の高い生産活動」が、本当に“サスティナブル”たり得るのか否か、きちんと検証してゆく必要があると思います。

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