2022年 Codelco 各地域向けのプレミアム2割増と、あたふたする世界のスクラップディーラー

コデルコ社、2022年に中国のバイヤー向けに銅のプレミアムを引き上げ

2022年 チリ銅公社・コデルコ 地域別プレミアム一覧

  • CHINA: 105USD/MT
  • EU: 128USD/MT
  • KOREA: 100USD/MT

参照: SMM News - "Codelco Raises Copper Premiums for Chinese Buyers in 2022"

引用:

Market participants said on Monday that the world’s largest copper miner Codelco will supply copper to Chinese customers with a premium of $105/mt in 2022. This is up 19.3% from this year's $88/mt.
市場関係者は2日、世界最大の銅鉱山会社であるコデルコが、2022年に105ドル/mtのプレミアムをつけて中国の顧客に銅を供給すると発表した。これは、今年の88ドル/mtから19.3%の上昇です。
The spot copper premium offered by Codelco to European customers last month was $128/mt, the highest level since 2015 and an increase of more than 20% from 2021.Subsequently, Codelco provided a copper premium to a South Korean customer of $100/mt, an increase of approximately 20% year-on-year.
先月、コデルコが欧州の顧客に提示したスポット銅のプレミアムは128ドル/mtで、2015年以来の高水準となり、2021年比で20%以上の上昇となりました。 その後、コデルコが韓国の顧客に提供した銅プレミアムは100ドル/mtで、前年比約20%の増加となりました。

現在の状況を前例のない“カオス”と評す BIR会頭

欧州のリサイクル組合 BIRのトップが、非鉄スクラップ業における流動的な現状に対して、懸念を示しています。

参照: BIR NEWS - Global eForum - Non-Ferrous Metals Division: Restriction of international scrap trading “leads to less recycling”

  • 相場高
  • ボラティリティ高
  • 物流の混乱(物流費高騰)
  • シリコン、マグネシウム、マンガンなどの合金材料の高騰
  • 半導体及びエネルギー不足
  • 債券の債務不履行の懸念
  • インフレ高

他の同業界の重鎮も、「欧州域内でのみスクラップを流通させる政策には、絶対反対!」と鼻息荒く、異論を唱えています。彼らの論点としては、「“原料(コモディティ化された商品)”の流動性が鈍る(足枷が増える)ことで、“スクラップ”を原料化(現金化)するまでに手間と時間がかかるじゃないか!」ということではないでしょうか。

さらに、「ただでさえ高止まりした相場が、日中5%近い上げ下げ繰り返すんだから、たまったもんじゃないよ」という嘆きのようにも聞こえてきます。要は、美辞麗句並べたところで、「カネの問題」です。

ただ、ここで真面目に理解しておかなければならない事実があります。

イタリアの再生アルミニウム合金メーカーRaffmetal SPA社の原料購買担当ディレクター、Franco Dalpiaz氏は、エネルギー危機の影響についてゲストプレゼンテーションを行いました。同氏によると、中国での電力不足により、ヨーロッパへのマグネシウムの供給が「激減」しており、11月末にはマグネシウム合金の在庫が底をつくと予想されています。これにより、アルミニウムのバリューチェーンにおける生産が停止し、自動車や包装材などの分野に影響を及ぼす可能性があります。

国内の自動車メーカーは、12月に大規模な“挽回生産”を行うと発表していますが、本当にそれは可能なのでしょうか。

(同氏は、)再生可能な燃料を用いた内燃機関のゼロエミッション化に向けた解決策を見出す必要性を強調しました。これができなければ、10年後、15年後に大量の使用済み自動車スクラップが発生し、「買い手が見つからない」という問題が生じます。

つまり、「アルミニウム鋳物を使ったエンジン(内燃機関)の必要性がなくなったら、廃棄された“それら”は再生されることなく、行き場を失うんじゃないの(アルミニウム再生事業者の未来は?)」ということです。

中長期的なプロダクト・ライフサイクルを考えずに、“脱炭素”だの“グリーン”だのと、表面的な金融政策に肩入れすることの恐ろしさが、ここに表れています。トヨタは、内燃機関を使った水素自動車の開発に力を入れていますが、俗に言われる「トヨタシステムを守るため」に内燃機関に拘っているのではなく、もしかしたら、こういった「静脈産業を含めた、長大なエコシステムを守るため」に、開発を進めているのかもしれません。

いずれにせよ、リサイクル産業が果たす役割、存在感は、これまでと全く違ったものへと昇華されるはずです。多少の痛みを伴いながら。

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