ミックスメタルの今後を考えてみる

先日、人生の師と仰ぐ方に、このブログをみていただいたのですが、「小難しい」との酷評を得ましたので、以後、気を付けたいと思います。確かに、自分で見返しても、「長ったらしいなあ」と思うばかりで。隙間時間に殴り書きしたメモをもとに、ちまちまと夜更かしをしてしたためるのですが、言いたいことがいっぱいあって、ついつい冗長的になります。アクセス数は、おかげさまで微増ながらも成長しているので、やめることはありませんが、時間対効果を考えると、やり方を変えるべきだと実感しています。新しい切り口で、攻めてゆきたいものです。

“ミックスメタル”ってなんだろう

最近、業界の中では、このコトバをよく耳にします。例えば、「中国が、ミックス・メタルの輸入を渋っている」とか、「国内需要家向けミックス・メタルの検収基準がどうのこうの」などです。

過去の実体から考えると、前者は、業界でいうところの“雑品”、一般の方から見たときの“ゴミ”に該当します。かつては、そのまま中国国内に船で運び込まれ、ひとつひとつ解体され、同国国内の金属原料として、再生されていました。

そして、後者の意味合いは、「車を破砕し、鉄分を取り除き、選別をしてその他の金属分(主にアルミニウム)を抽出したもの」ではないでしょうか。一般的には、アルミの合金を製造されているメーカーが購買しているものと考えられております。

つまり、“ミックス・メタル”の定義は、ひとつに括ることが難しく、「色んな金属の集合体(=複合金属)」といった概念でしか言い表せないのです。最終的には、いずれも金属の原料となります。

ナッツとメタル

適切かわかりませんが、業界外の方々に説明をする際、筆者は、このような表現を使います。「ミックス・メタルのリサイクルというのは、粉々になった“ミックス・ナッツ”から、特定のナッツ(金属)を『どうにかこうにかして』取り出す作業です。白っぽいクルミやらカシューナッツ、マカダミアナッツが、鉄とアルミ、ステンレス。赤茶っぽいアーモンドが“銅っぽい”モノです」と。あくまでも、想像の世界でのハナシです。簡略化しすぎでしょうか。

そして、あともうひとつ、大事な構成要素を忘れていました。5番目に、「粉っぽい部分」を挙げさせていただきます。

  1. クルミ(鉄)
  2. カシューナッツ(アルミニウム、亜鉛、マグネシウム)
  3. マカダミアナッツ(ステンレス)
  4. アーモンド(“銅系”)
  5. 粉っぽい部分(ダスト、回収・評価の難しい金属)

「ナッツは、“ミックス”であるがゆえに、商品価値を増します」が、スクラップ・メタルは、“ミックス(雑多)”であればあるほど、価値を失います。金属を再生させるためには、極力、似通った性質のものをひとまとめにして、効率よく、同質のものを均一につくり還す必要があるからです。言い換えると、いくら粉々になっていようとも、ゴミのように見えようとも、確実に、成分を同質にすることができれば、それを喜んで欲しがる人がいるということです。

以下、マニア向けの内容になりますので、ご注意ください。

ZorbaとTwitch

実のところ、ミックス・メタルには、“規格”が存在します。米国のリサイクル啓蒙団体であるISRIが、これを定めました。この規格に沿って“原料づくり”がなされ、各品種ごとにそれぞれの相場が形成され、“貿易品目”として、世界中で流通しています。流通量の最も多い品種でいうと、 Zorba (ゾルバ) 。上位品種には、 Twitch (トゥウィッチ) という品種が存在します。前者は、「9割以上を非鉄金属(鉄以外の金属)で構成するもの」とし、後者は、「ダストの混入を2%までに抑えた、アルミニウム主体のもの」と定めています。左記の“ナッツ”で表現すると、前者は、「クルミなしのミックス・ナッツ」であって、後者は、「カシューナッツの色味とか、重さとかで等級を3つ(アルミ、亜鉛、マグネ)に分けた中の美味しい部分」であります。

参照: https://www.isri.org/recycling-commodities/scrap-specifications-circular

翻訳: https://www.deepl.com/ja/translator

Zorbaの定義

各金属の割合は、買い手と売り手の間で合意される。渦電流、空気分離、浮遊、スクリーニング、その他の分離技術、またはそれらの組み合わせによって生成された材料。1つまたは複数の磁石を通過したものであること。放射性物質、ドロス、または灰がないこと。本ガイドラインに基づいて売買される材料は、「Zorba」と表示され、その後にその材料の推定非鉄金属含有率を示す数字が続くものとする(例:「Zorba 90」は、その材料が約90%の非鉄金属を含むことを意味する)。

Twitchの定義

湿式または乾式の媒体分離装置から得られるもので、材料は乾燥していなければならず、最大1%の亜鉛、最大1%のマグネシウム、最大1%の鉄を含んではならない。合計で最大2%の非金属類を含まず、そのうち1%以下はゴムおよびプラスチックであること。過度に酸化したもの、エアバッグキャニスター、密封されたもの、加圧されたものを含まないこと。買い手と売り手の間の特別な取り決めにより、あらゆるバリエーションが販売されること。

その他の規格

ミックス・メタルの規格は、これだけに留まらず、Twitchの兄弟分に、アルミの純度を下げた"Tweak"。モーターを破砕したあとに得られる、"Elmo", "Sheema", "Shelmo"。電線を加工したあとの"Zeyda"。ステンレス主体の "Zurik"。扱う範疇が広すぎて、もはや規格として成立していない "Zeebra", "Zeppelin"なる規格も存在します。

伏線の回収

冒頭で「中国が、ミックス・メタルの輸入を渋っている」とか、「国内需要家向けミックス・メタルの検収基準がどうのこうの」といった類のハナシに触れた伏線回収を行います。結論から申し上げると、「もう、中国には、Zorba入らないでしょう」ということと、「検収基準は、どんどん厳しくなって当然だよね」ということです。

中国向け“破砕アルミ”の展望

この類のハナシは、もはや“たられば”ではありません。中国政府発行のGB/T 38472-2019 『再生鋳造铝合金原料』 の中で、破砕されたアルミニウム原料は、「金属分として99.1%以上、アルミ成分として91%以上。サイズを (1) 70mm以上、 (2) 28~70mm未満、 (3) 5~28mm未満の3区分に分け、混入量に対する許容値をそれぞれに設ける」とあります。字面だけ追っかけていけば、左記のTwitch基準でも達成できるか、微妙なラインです。つまり、中国が欲しているのは、“ミックス・メタル”ではなく、溶解炉に直接投入できる単一の“原料”ということになります。

検収基準を厳しくする理由

『マレーシア、スクラップ輸入の廃棄物基準を厳格化 (Malaysia to tighten scrap import waste thresholds) 』

マレーシアは、8月31日までの猶予期間を延長し、10月31日以降、金属スクラップの輸入に使用される廃棄物の基準を正式に強化する。

7月16日から始まった暫定期間中、マレーシアは銅、アルミニウム、鉄スクラップの輸出業者に対し、非金属廃棄物は重量の0.25%まで、回路基板またはEスクラップは0%までに制限するよう求め始めた。

米国のシュレッダーの中で、中国が要求している99%のゾルバパッケージを輸出市場向けに製造できるのはごく少数であり、99.75%のパッケージを製造できるのはさらに少数です。

今回のマレーシアの発表は、東南アジアにおける米国産スクラップの新進輸入国であるインドネシアが、中国やマレーシアなどの同地域の貿易相手国の動向に反して、廃棄物(ダスト)許容量を2%に拡大すると発表した直後のことでした。

突然ですが、昨今の“第三国事情”を先に述べさせていただきました。おそらく、「中国の通関基準厳しくなったよね。日本のそれなんか、もとから厳しいし、これからもっと厳しくなるんじゃないかなあ。苦しい状況だねえ」などと言えば、「いや、マレーシアがある!」みたいなリアクションが出てくると思ったので。

たしかに、東南アジア仕向けの低品位スクラップ貿易は、なくならないと思います。ただ、彼らは、大陸同様、メンツをとても大事にしますし、「ハーモニーという名の同調圧力」にとても弱いです。他の国が、「基準緩めちゃおうかな」と言えば緩めるだろうし、「まだ、ダメっぽい」ということを感じ取れば、大々的に方針転換することもないと考えています。

そうすると、パキスタン辺りの国々が、手を挙げるのでしょうか。どうでしょう。そもそも、このコモディティ全般における異次元相場、物流費が高止まりする状況が続く前提でハナシを進めますが、中小規模の会社にとって、「直接の輸出行為を通して、返品(シップバック)になる大きなリスクをとるよりも、妥当な値段で買ってくれる大手ローカル企業に売り切ってしまう」方が現実的です。大企業としては、最新鋭の設備に投資し、例の基準に沿った“モノづくり”をすることで、規模を追求することができます。

おそらく、各国が、足並みを揃えて「検収基準を厳しくする理由」は、なによりも、「ゴミ(ダスト)を買いたくない」という点ではないでしょうか。仮に、海上コンテナ25トン分のミックス・メタルに、2%のダストが混入していたとしましょう。そうすると、価値のある金属と一緒に、500kgもの価値のないゴミを受け入れることとなります。当然のことながら、スクラップ輸入量に比例して、ゴミを受け入れる量も増えてしまいます。各国が、脱炭素の流れで、数パーセント単位でその排出削減目標を立てている中、「金属原料がたんまり手に入っているから、ゴミはじゃんじゃん燃やせ!」といった政策が成立するでしょうか。“グリーン”で“スマート”な生き方が求められる世の中では、“ノー”です。

個人的な思い

個人的には、高コストなハイスペック・マシンが、すべての答えではないと考えています。なぜならば、目新しい技術は、往々にして「“品質の沼”にハマって、コストが二の次」に陥ってしまいがちだからです。長い目で見たときに、持続性がありません。そして、大企業の寡占化にも危機感を覚えています。陣取りゲームのように、「勝者総取り」の世界に希望はないからです。この分野は、思いの外、まだまだ“奇想天外”なやり方で、新たな価値を生めるものと捉えています。いつも言っているような気がしてなりませんが、ぶっ飛んだアイデアで「一山当てたい」ですね。

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