2020/08/20

中国バッシングで米国企業が割を喰っていますが、その狙いはなんでしょうか

8月も終わりに近づいてきました。金属リサイクル業界におきましては、これまで7月がひとつの節目として認識されていました。いわゆる、「中国、“廃棄物”ライセンス制をやめるってよ」問題です。業界の噂(誰が言ったかわかりませんが)として、「同月以降は、中国側での“原料”輸入に関する基準が明確になり、それが即時適用(旧制度、即時撤廃)となる」ということでした。

それがどうでしょう。今となっては、「事情通を装った関係者が、また、言ってるよ」といった感じで、完全に市中一般ならびにメーカー等の関係者様方は、完全に“白けモード”です。当ブログでも、件の“即時適用論”について言及しています。間違いなく言えることは、「品質要求事項を厳格化し、高品質な“原料”を定常的に集める」という“大綱”のもと、付帯的な要素として、「通関システムを刷新し、効率化を図り、関税を間違いなく徴収する」という“戦術”を適用するということは、かなり前から討論され、純度の高い政策決定がなされていたということです。いわゆる、これまで当ブログでも散々言及してきた、“既定路線”であります。

中国関連タグ一覧: https://www.michiru-resources.com/search/label/中国

もし、ここで言い訳じみた、能書きを垂れることが許されるのであれば、ひとつ申し上げたい。“戦略”は、どこにあったのか、と。

恐らく、崇高な思想・理念と、実利的な改革がうまく合致し、なにをしていけば、それが達成されるのかということは、明確に描かれていたのでしょう。ただ、筆者個人の見解で恐縮ですが、「良いモノを集める」ということと「確かに税金を徴収する」という行為の間に“大きな隔たり”があります。そして、それぞれの業界に支持母体があります。果たして、両業界へのコンセンサスは、卒なくとれていたのでしょうか。また、それらの“ギャップ”をどのようにして埋めるのかという“戦略”は、誰が、どのように描いていたのでしょうか

要は商圏であり、通貨である

ハナシは、毎度のようにブレにブレます。昨今、トランプさんは、“中国人民解放軍系”企業が開発した製品を排除することで、頭がいっぱいです。日本のメディアでは、「中国対米国の二項対立」で物事を単純化させ、あたかも「中国は悪者」であるかのように事態を簡略化させます。

果たして、現在の国際政治というか、ネオ帝国による地球政治の相関図をそのような解像度の低い視座で理解してよろしいのでしょうか。

ややこしくなるので、シンプルにいきます。

  • TikTokが禁止になることで、米国民の生活に影響が出ますでしょうか。
    • いいえ。明らかに、損をしたのは、北米の商圏を失ったTikTok側です。
    • 事業会社である、ByteDance社の米国事業を、米国会社に事業譲渡することで、誰が得するのでしょうか。
  • WeChatが禁止になることで、米国民の生活に影響が出ますでしょうか。
    • はい。なぜならば、中国大陸市場におけるAppleユーザーが、他の地場メーカー(Huaweiを筆頭とする)へ鞍替えする可能性が高い(iPhoneが売れなくなる)からです。
    • 決済、ID管理、与信管理機能を付与されたアプリが、明日から自分のケータイで使えなくなるということは、日常に対する死の宣告に近いものがあると思います。
    • Appleが被るであろう損害は、計り知れないモノがあります。
  • Fortniteがアップルストアから排除されることで、米国民の生活に影響が出ますでしょうか。
    • はい。なぜならば、アップル側が「(大きな商圏を取りこぼすことに恐怖を抱き)ごめん。うちのマージン減らすから、戻ってきて」と妥協した場合、最終的に、アップルによるアップルストアの統治に綻びが生じ、アップルの企業価値を毀損する可能性が大いにあるから。
    • ゲーミング市場における決済の流動性を止めたとき、想像を絶するうねりが実体経済に影響を与えると思います。
    • ゲーム内の通貨を、本来の目的とは別の用途に必要とする方々がいます。
    • Appleが被るであろう損害は、計り知れないモノがあります。

左記の“原料”通関制度にも深く繫がるハナシですが、結局のところ、現在の“戦争”は、「クニ対クニの喧嘩」ではありません。中国にも、共産党があって、人民解放軍があって、それぞれがひとつの思想・理念のもと、一枚岩であるかのように振舞いながらも、それぞれに思惑・利権がある。同様に、米国でも、党派の違いを超えた、利権構造がある。

個人的には、トランプさんは、「中国が嫌いだから、ちょっかいを出す」ような人ではないと考えています。確かに、彼の“民意上の”支持基盤に対して、ドラマティックな振舞いが最も訴求力があり、効果的なのでしょうが、実際には、もっと深いところ、もっと高いところに作用するような攻撃を、思慮深く、粛々とこなしているようにも思います。少なくとも、彼の“実利上の”支持基盤であり、彼を操作しているとされる方々の思惑は、彼の行動の一挙手一投足をみていれば、自ずとみえてくるはずです。

「Appleが損をするかもしれない」と理解しながらも、なぜこのように大きく出るのか。これが、単なる小手先の選挙対策なのか。仮に、そうであった場合、このアクションを使って、どのようなレバレッジ効果を期待しているのか。次の手は、なんなのか。まったく見当もつきません。

我々が、身をもって理解していることは、ただひとつ。前回の大統領選で、「トランプが勝った」ということと、「相場という相場すべてにプラスの影響を与えた」ということです。

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