そりゃあ、細かくしたくなるわなあ【中国“新”HSコード】

今朝、それとなく“再生原料”に係る【中国“新”HSコード】の情報を探っていたわけです。すると、色々と面白い事実が浮き彫りになります。

前提として、多くの先人(金属スクラップ貿易従事者)が、「スクラップを“コモディティ”として流通させるために、どうやったらうまく税関と折り合いをつけられるかということに長らく腐心してきた」という事実が挙げられます。そして、先人の成功にあやかろうと続いたフォロワー群が、その“不文律”を少しずつ独自の解釈で歪曲させ、良からぬ方向に導いた可能性が指摘できます。最終的には、国家の腕力をもって、「“スクラップ”はいらないけど、“原料”なら欲しい」という国是が提唱され、ものすごいスピードで、後者を受け入れるための態勢が整えられるようになったのです。

参照: 山師の根性 || Powered by Michiru Resources【中国】リサイクル原料に新しいHSコードを付与 | 米国の梯子外し

かつての中国税関は、HS#7404(銅のくず)の区分の中に、【000010】と【000090】という2種類の細分コードを運用していたわけです。前者は、"Waste electric machines, waste wires, cables, mainly for recovering copper"、つまり、「銅の回収を主とする廃電気機械、廃電線、ケーブル」という区分。後者は、「それ以外のもの」を指します。

具体例を示します。通関上の過去データを探っていくと、HSコード【7404.000010】というひとつの区分の中で、下記のような品目名が存在していたことに気づきます。

  • 废电机(铁壳)-总95铁80铜14铝1 || 廃モータ(鉄ケース)−総95%, 鉄80%, 銅14%, アルミニウム1%
  • 废电线-总28铜28 || 廃電線−総28%, 銅28%
  • 带皮废视频线-总15铜15 || 被覆廃家電線−総15%, 銅15%

翻って、HSコード【7404.000090】の例を見てみましょう。

  • 废铜屑-含铜59.8%,机械加工产生供回收用 || 銅のくず−銅59.8%を含み,機械加工による回収用
  • 废合金铜料-含铜量57%含锌量38%其他为5%粉状 || 合金銅のくず(粉状)-銅含有量57%, 亜鉛含有量38%, その他5%
  • 2号废紫铜-总94铜94 || 2号銅−総94%, 銅94%

いずれの例を見ても、「金属毎の“歩留”を明確にした上で、通関に臨んでいる」ということがわかります。おそらく、この数値は、「実際に精錬したあとに回収できる銅の歩留」ではなく、「選別・加工したあとに回収できる金属としての歩留」であると思います。

銅の色をした“スクラップ”から、どれだけの“原料”を回収できるのか

この「歩留に対する認識のされ方」が,、意外と重要な意味を持っています。なぜならば、最新の中国政府発行の“再生原料”に関する基準のなかでは、前者と後者、それぞれに対して、明確な閾値が設定されているからです。それは、アルミ原料に対しても、同様のことが言えます。

今般、6月1日より、中国税関は、新HSコードを発給する旨を通知したわけですが、この“変化”は、「2019年に決まった政府基準を厳格化する」という意思表示ではないことが推測できます。ただ単に、「今まで、ひとつのコードのなかに無理くり、色んなものを詰め込んでくれたけど、結局、私たちは“スクラップ”の専門家じゃないんで、わからないんですよ。だから、銅は銅。真鍮は真鍮できちっと分けて申告して欲しいんです。もう、半年以上、新しい基準に沿って貿易してるんだから、なんとなく、その“感覚”はわかるでしょう」と。

要は、これまで、「銅〇%、鉄〇%、アルミ〇%を含有するスクラップ」を作り込んで、きちんと税関申告をして、適正に選別・加工ができる業者がいる一方で、「(歩留も知らずに)モーターのスクラップ」だとか、「(少し汚れているから)2号銅」みたいな《感性》のみを頼りに貿易に従事していた人間がいたわけです。

中国当局側も、本音としては、戦略物資としてのベースメタルの積極調達は、絶対的に推進したいわけです。ただ、リスクを可能な限り排除したい。既に、海外から、「ゴミなのかなんなのかもわからない、謎の物体」を受け入れる必要性はない。国内での発生が十二分に見込めるからです。だったら、金属の含有率が確かなもの、ひいては各金属毎の組成まで明確なものを調達して、精錬・加工コストの安いうちに、販売プレミアムが高いうちに、自前で抱え込んで処理したいと考えています。

幾度か言及していますが、「中国は、雑食な“加工貿易屋ではない」のです。「なにをやるか選ぶ」立場にあるし、「もう、無理をしなくても、他の国が代わりに“厄介事”をやってくれる」環境に置かれています。大綱のもと、粛々と、ナンバーワンになるための道を猛進しているのです。子は、親に追随する道しか残されていません。親に与えられた道のなかで、黙々と「なにができるのか」ということを考え、精進するのみです。

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